福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 金草岳地域のチャートと平坦面
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町南越前町(旧今庄町):金草岳(392,393,420,421)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  今立郡池田町の南端に位置し,福井―岐阜県境にそびえ立つ金草岳は,冠山,若丸山と同様に,頂上付近には,チャートが分布している.このチャートは南条郡今庄町の藤倉谷から続くもので,いわゆる厚層チャートとして典型的なものである.色は白色を呈するものが多い.層内褶曲も激しく,その産状は,冠山北の厚層チャート(63 )に似ている.金草岳を中心とした足羽川や田倉川の源流地域に分布するチャートの色は,主に白色であるが,赤,緑などのものも含まれる.藤倉谷では,黒色のものも多い.この厚層チャートからは時代決定に有効な放散虫化石は産出していないが,およそ三畳紀と考えられる.チャートの走向は,おおよそNW ないしN60 °E であり,一部南傾斜している場所もあるが,全体的には北傾斜である.藤倉谷では,この厚層チャートに伴って正延性玉髄を含むドロマイトが発達する.一般的に,正延性玉髄は蒸発岩形成に関係していると考えられている.金草岳や冠山を代表格とする越美山地には何段かの高位平坦面が残存している.最も高いのは標高1,200m 付近にある平坦面の残骸で,それらが冠山や金草岳の頂部をつくっている(64 ).この頂部はチャートでできている.標高1,000m 前後の所に尾根筋を造る平坦面がある.金草岳から北に伸びる尾根筋にはこの平坦面が特によく発達する.遠望すると,全体的には平坦であるが,詳細に見ると,平坦面には凹凸があり,地質の硬軟を反映している.すなわち,地質はチャートや頁岩であるが,チャートの部分がやや高く,頁岩の部分がやや削られている.これらの平坦面の形成時期は第四紀前期から第三紀に遡ると思われ,中部日本の地形発達史上の貴重な記録である.
保護の現状
 と留意点
 金草岳の福井県側はほとんど人の手が入っていない.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)