福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 冠山礫岩
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町:冠山北(343)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  冠山礫岩は今立郡池田町の冠山林道沿いの,冠山北麓に発達している.この地域には,粗粒砂岩が広く分布しているが,冠山北麓では極めて粗粒な砂岩が露出し,この中に礫岩が挟まれている.この地域に分布する主要な地層は,三畳紀チャート,ジュラ紀頁岩及び砂岩である.この礫岩層のもっとも露出のよい所は,地図中の冠山山頂に向かう沢沿いである.ここより西方の林道沿いにもこの礫岩層の延長部が存在するが,露出状態はあまりよくない.また,この沢から東方では,尾根を越えたアラクラ山の南部にこの礫岩層の延長部と考えられる礫岩が露出する.この礫岩は,上方へも下方へも砂岩に移行していることから,層間礫岩である.礫層部の厚さは,おおよそ200m であるが,西方または東方では50m 位に減じている.構成礫種は,花崗岩,チャートが主で,砂岩,石灰岩,ヒン岩,流紋岩なども含まれる.花崗岩礫は,大礫〜巨礫の円礫が多い.中には,径1m を越える円礫も存在する.覆瓦構造などのクラストの定向性は確認できない.チャート礫は,中〜大礫の角〜亜角礫が多く,化石らしきものを含むものと,正延性玉髄を含むものがある.石灰岩礫は,中〜大礫で,円磨度は亜角礫〜角礫である.後期石炭紀〜中期二畳紀を示す紡錘虫化石を含む.この冠山礫岩と構成礫種がほとんど同じで,特徴もほぼ似通っている礫岩は,南条山地では,冠山以外にも,今庄町赤谷,桝谷,河野村河内にも見られる.これらを含めて,冠山礫岩系という.この礫岩は南条山地を含む美濃帯を構成する砕屑物の起源の研究には重要な情報を提供する.
保護の現状
 と留意点
 現状のまま保存することが望まれる.


 (図上のNO.62ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)