福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 美濃俣の地すべり地形
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町:美濃俣(315)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  昭和34 年に発生した地辷りであり,これにより下流の巣原部落(当時27 戸)が流出,廃村となった.災害後の復旧保全工事が施されているが,いまでも典型的な地辷り地形がよく残っており,災害科学上重要である.広い意味では,温見断層(根尾谷断層の一部)による断層破砕帯(47 )の中に位置しており,破砕帯地辷りと考えられる.部子(へこ)山の南側を中心とするこの地区には,秋生断層(44 )と根尾谷断層が交錯して分布している.秋生断層は,巣原から巣原峠を経て西北西にのびている.この断層は,地形・地質学的に見て極めて重要な断層である.すなわち,断層より北側は,新・旧の花崗岩類を基盤として中新世前期の火山岩類(糸生累層)によって広く被覆されている.南側には美濃帯中生層が分布している.温見断層は,温見から熊河峠をへて北西方向にのびている.この断層は,活断層であり,1891 年濃尾地震の時大きく変位した.また,この断層の推定延長線上では1948 年の福井地震でも活動したとされている.この断層による破砕帯の好露出は,美濃俣地辷りでも見つかっていない(例外的に,水海川の北側の谷に破砕帯の一部が現れている).しかし,前述したごとく美濃俣の地辷りはこの断層による破砕帯地辷りに起因したものと考えられる.
保護の現状
 と留意点
 防災工事以上の開発は避けるべきである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)