福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 豊原の滝
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
丸岡町:豊原の滝(433)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  竹田川中流地域は,グリーンタフ地域北陸積成区の南側周縁部に位置し,中生代の堆積岩類,火山岩類等からなる基盤岩類を被覆して,新第三紀中新世に属する火山岩および火山砕屑岩類が厚く広く発達している.新第三紀層はその層厚も700 〜800m に達し,岩相的に大きく4 つの累層(西谷流紋岩類,浄法寺累層,竹田累層,火燈(ひともし)山流紋岩類)に区分できる.浄法寺累層は,基盤岩類を不整合に被覆し,本地域で最も広く分布する.竹田地区の西側で,小野谷−近庄峠を結ぶ竹田断層と接し,それより以西と南〜南東に分布する.竹田川本流およびその支流の針の木谷においては竹田累層に,火燈山および浄法寺山付近では火燈山流紋岩類によって直接不整合に被覆されている.本累層は,さらに下位より下浄法寺火山岩類,的川火山岩類,冠岳石英安山岩類に細分することができる.的川火山岩類は,永平寺町的川上流が模式地で,浄法寺累層の6 割近くの分布範囲を占めている.また,下浄法寺火山岩類を整合的に被覆し,また基盤岩類を不整合に被覆している.その上部は,冠岳石英安山岩類,竹田累層,火燈山流紋岩類によって覆われている.丸岡町榎峠付近一帯では,竹田断層を介して竹田累層と接している.的川火山岩類は,安山岩溶岩,安山岩質凝灰角礫岩,安山岩質火山礫凝灰岩等より構成されている.安山岩溶岩は,普通輝石の大きな斑晶を多く含むのが特徴で,他に紫蘇輝石,長石の斑晶を有する.変質鉱物としては普通輝石より変質した緑泥石と斜長石より変質した方解石が多い.本岩類の上部はほとんどが安山岩溶岩からなり,下部は凝灰角礫岩ないし火山礫凝灰岩がそのほとんどを占めている.豊原の滝は河床に沿って流れるもので,滝としては極めて小規模である.上流にダムがないことから,降雨による川の水の増減がそのまま滝の水位に反映する.
保護の現状
 と留意点
 五味川に沿って豊原へ向かう道路が舗装整備されつつあり,豊原の集落跡にバンガローも建てられており観光客が行き来することが遠からずできるようになる見込みである.豊原の滝近辺には竹田川渓谷の小規模版としての自然環境が残されている.現状のままの保存が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)