福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 伊勢峠の石灰岩
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市和泉村:伊勢峠(127)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  九頭竜川上流の伊勢地域に分布する先手取統はシルル系,デボン系の上穴馬層群,石炭系の長野層,ペルム系の大洞谷層・野尻層・マガトジ層および時代不明の大谷層・本戸層・芦谷層群に分けられている.このうちデボン系は上穴馬層群と呼ばれ,和泉村上伊勢(旧穴馬)が模式地となっている.他に箱ヶ瀬,野尻北にも断片的に分布している.おもに石灰岩,緑色岩,砂岩,粘板岩からなる.上伊勢では灰〜黒色石灰岩体が谷沿いを中心に比較的よく露出しており,床板サンゴ,四射サンゴ,層孔虫,腕足類などの化石が多数報告されている.伊勢峠には断層に囲まれて断片的に長野層黒色石灰岩も分布する.石灰岩からは中部石炭紀のフズリナの化石等が報告されている.長野層は,伊勢峠以外では,野尻の北方に分布が確認されているのみである.
保護の現状
 と留意点
 上伊勢では谷沿いに上穴馬層群黒色石灰岩の良好な露頭がある.現在でもその露頭や,その下流側の河原において化石の採取が可能であり,化石愛好家による採取が多数なされているようである.本地点は全国的に見ても希な,保存良好な古生代化石が産出する地点であり,露頭,並びに周辺地域の保護が必要である.特に大規模な開発には注意を要する.なお,現在和泉村での化石採取は条例により禁止されており,採取には和泉村教育委員会の特別の許可が必要となっている.


 (図上のNO.38ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)