福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 和泉村貝皿・下山付近の地層とアンモナイト化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
和泉村:貝皿,谷山川(101,102)
選定理由 古生物学的に重要な地点,その他地質学的に貴重な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  北陸一帯に分布する中生代手取層群からは恐竜を始めとした脊椎動物化石,貝化石,植物化石等が多数発見されている.九頭竜川上流地域の手取層群は九頭竜亜層群,石徹白亜層群,赤岩亜層群に区分され,いずれも頁岩・砂岩・礫岩などの砕屑岩類からなる.このうち九頭竜亜層群は和泉村の九頭竜川支流,石徹白川最下流部を模式地とし,主に海成層からなる.九頭竜亜層群の上半部から中・後期ジュラ紀のアンモナイトが多数見いだされている.下山は日本で初めてアンモナイトの産出・記載がなされた地域の一つであり,有名な化石産地である.本地域は日本におけるジュラ紀中期のアンモナイトの代表的産地であるばかりでなく,太平洋地域に特有なものが多数産出しており,また当時の環境を知る上でも貴重な種を産出している.このほかに,ベレムナイト,二枚貝等の化石も産出する.貝皿の化石産地とほぼ同層準である.下山に分布する下山礫岩層は,手取層群の基底礫岩であり,その厚さは200 〜300m である.クラストとして,片麻岩・花崗岩・石英斑岩・結晶質石灰岩・砂岩などの円礫を含む.谷山川の谷の林道には,砂質泥岩がみられる.川の中に黒色頁岩が分布する.この砂質泥岩からは,三角貝やアンモナイトなどの化石が産出する.また,岩石中にノジュールと呼ばれる丸い石が見られる.ノジュールの大きさは,小さいものは米粒くらいで,大きいものは10 p強の大きさである.貝皿地域も日本におけるジュラ紀中期のアンモナイトの代表的産地であるばかりでなく,太平洋地域に特有な種,更に当時の環境を知る上でも貴重な種も産出している.このほかに,ベレムナイト,二枚貝等の化石も産出する.下山の化石産地とほぼ同層準である.
保護の現状
 と留意点
 下山においても貝皿においても,その化石産地は多くの化石愛好家により化石の採取がなされ,すでにかなり荒れた状態である.最近,下山では砂防ダム工事により新たな露頭がつくられ,そこからアンモナイトを始めとして多くの化石が容易に採取できた.このような地点は近年ほとんどなくなっており,何等かの保存措置が望まれる.現在和泉村での化石採取は村の条例により禁止されており,採取には和泉村教育委員会の特別の許可が必要となっているが,より積極的な保護が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)