福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 佐開の木落断層地形
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:佐開(188)
選定理由 典型的な構造地形,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  大野盆地南東部,佐開(さびらき)の北約500m の土砂採取場にみごとな活断層露頭がある.佐開周辺には,この露頭沿いの佐開から木落(きおとし)にかけて伸びる大野盆地と東方の山地との境界をなす断層,およびその東側約1 qのこれとほぼ平行な南北に伸びる断層がある.いずれもその長さは2.5 〜3.0 qである.断層の存在を示す地形として,山地高度の不連続,佐開北東の山地斜面に見られる溝状の凹地,堀兼東方の低断層崖の存在がある.土砂採取場には破砕された基盤岩,およびこれを覆う未固結の河川性堆積層,崖錐性堆積層が認められる.基盤岩はジュラ紀の船津花崗岩類および貫入岩からなり,少なくとも幅50m 以上にわたって破砕されている.同様の破砕された基盤岩は佐開東側の土砂採取場でも認められる.破砕された基盤岩はその上面が侵食により平坦化しており,未固結の砂礫層により覆われている.基盤岩を覆う砂礫層は下部層と上部層に区分できる.厚さ約4m の下部層は円礫層,砂層,シルト層からなる.礫は良く円磨されている.礫層には,真名川上流部に分布する片麻岩,本戸礫岩,手取砂礫岩を含むことから,この礫層は真名川の河床礫であると考えられる.即ち破砕された基盤岩は真名川により一旦侵食され,河床礫に覆われたと推定される.また円礫層を覆う細粒堆積物は,この地点が河川本流から外れたときの堆積物である.10m 以上の厚さのある上部層は主に角礫層からなり,所々に薄いシルト層,砂層を挟む.礫種は東側山地を構成している安山岩,ヒン岩,花崗岩であり,東側山地から供給された崖錐性の堆積物である.木落断層と呼ばれるこの断層は破砕された基盤岩および未固結堆積層下部を切り,未固結堆積層を変形させ,さらに地表面に比高約1m の緩やかな段差を形成している.断層は露頭では逆断層であり,東側隆起となっている.走向はN10 ゜W である.傾斜は露頭下部では約40 ゜の東傾斜,上部ではさらに低角となっている.この断層により,側道の下の露頭では未固結堆積層が引きずりにより湾曲し,断層近傍では下部の河川性堆積層が一部逆転している.また側道の上の露頭では未固結堆積層は引きずりにより湾曲し,最大で90 ゜近い傾斜となっている.
保護の現状
 と留意点
 佐開で認められた活断層露頭は全国的に見ても,すばらしいものであり,早急な保全が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)