福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 細呂木の活褶曲
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
あわら市(旧金津町):青ノ木(502)
選定理由 典型的な構造地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  青ノ木の細呂木小学校建設現場において,第三系河南累層およびこれを不整合で覆う第四系芦原砂層,芦原ローム層のみごとな露頭が現れた.特に露頭南西側では,河南累層と芦原砂層下部がともに上に凸の背斜になっているにもかかわらず,芦原砂層上部では傾斜が緩くなり,ほぼ水平な芦原ローム層に覆われている.河南累層では背斜軸はNS 〜N10 ゜E ,北に数度プランジしている.河南累層の上面は削剥されており,軸部に近いほど下部層が現れている.芦原砂層はこれを不整合に覆っており,基底部には厚さ数10 pの基底礫層が背斜翼部だけでなく,軸部にもみられる.芦原砂層は主に砂層,小礫層からなり,厚さ数cm のシルトの薄層を挟む.芦原砂層においても下部は河南累層と同程度に上に凸の背斜を示しているが,上部では次第に水平となり,芦原ローム層に覆われる.このような地層の積み重なりから,河南累層が削剥される以前より,褶曲運動が開始され,河南累層が削剥された後,芦原砂層が不整合でこれを覆うようになったと判断される.さらに褶曲活動は引き続き,芦原砂層下部も河南累層と同様に褶曲した.なお芦原砂層の年代は約10 万年前であり,この褶曲は活褶曲である.このような褶曲活動は,近傍の活断層の動きと関連すると推定される.青ノ木付近では,褶曲露頭の南東側に,NE- SW 方向に伸びる段丘を区切るリニアメントがあり,リニアメント東側の段丘高度が10 〜30m 低くなっている.また基盤岩である河南累層が露出するのはこの付近ではリニアメント北西側のみである.以上のことから,このリニアメントは西側隆起の活断層により形成されたものであり,活褶曲は断層が活動する際の引きずりによる変形だと考えられる.
保護の現状
 と留意点
 褶曲露頭,特に活褶曲露頭が見られる場所は本県では他になく,また活断層との関連からもその保護が望まれる.


 (図上のNO.4ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)