福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥獣の重要な生息地
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名   称 福井新港とその周辺
学   名
分 類 1 鳥獣の重要な生息地
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市三国町:(695,696,697,735,736,737,776)
選定理由 渡り鳥の渡来地または中継地、猛禽類の多様な地域
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  福井新港は,三里浜の北半分を臨海工業地帯として造成・整備されてできた港である.造成当時,20ha にもおよぶ広い湛水面と周囲に広がる砂丘では,渡りの途中のシギ・チドリ類や冬期のカモ類などの多くの野鳥が飛来していた.シギ・チドリ類では,タマシギ科1 種,チドリ科7 種,シギ科27 種,ヒレアシシギ科1 種の計4 科36 種が記録されている.また,タカ目では,ミサゴ,ハチクマ,トビ,オジロワシ,オオタカ,ハイタカ,ケアシノスリ,ノスリ,サシバ,ハイイロチュウヒ,チュウヒ,ハヤブサ,コチョウゲンボウ,アカアシチョウゲンボウ,チョウゲンボウの計2 科15 種が記録されており,これは本県で記録されている計21 種の7 割に相当する.現在でも若干の草地や砂浜,森林などの多様な環境を有していることから多くの鳥類の渡来・生息が確認されている.渡来するカモ類は,工場の建設とそれに伴う湛水面の減少により減少したが,わずかに残された水面や湾内に種数は多くないものの,1993 年から1998 年の「ガンカモ科鳥類生息調査」によると,毎年,約2,000 羽の淡水ガモ類が記録されている.一時期に比べ,個体数は減少傾向にあるが,これは,マガモの減少によるものである.本種は,県全体では減少傾向にないため,ほかに移動したものと思われる.また,沖合にも多数のカモ類が観察されてもいる.
保護の現状
 と留意点
 現在,本地域では,「鳥獣保護法」により狩猟の一部が規制されている.工業地帯として造成されたところであり,本来,保全と相反する場所ではある.しかし,人為的な環境であってもその広さと多様性により多くの野鳥が利用し,渡り鳥が多く通過する地点でもある.また,従前からのクロマツ林や海浜がまだ残っているので,特有の海浜植物の保護も含め環境の保全が必要と考えられる.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)