福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥  類
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名   称 ツバメ類の集団ねぐら
学   名
分 類 1 鳥類
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 集団営巣地または集団ねぐら
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  ツバメは,日本には,夏鳥として渡来する.本県でも,そのほとんどは夏鳥であるが,一部は日野川,九頭竜川や三方五湖などで越冬している.主に河川,湖沼,農耕地,草原などで飛びながら昆虫類を捕食する.営巣場所として建造物しか利用せず,主に木造の人家の軒や電灯などに巣を造る.繁殖終了後に,河川や湖などにある広いヨシ原に,ショウドウツバメも混じって集団でねぐらを形成することが知られている.また,日によって,ねぐらの場所やそこに集まる個体数も変動し,特に大雨や大風の前後で変化する.本県では,ツバメ類の集団ねぐらは多くは知られていない.ねぐらを形成する時期が限られていること,夕方にヨシ原で観察する人が少ないこと,大きなヨシ原が少なくなっていることなどの理由で記録されてこなかったと考えられる.現在,以下の2 カ所が確認されている.ひとつは,芦原町の赤尾の北潟湖にあるヨシ原である.このヨシ原は,スズメの集団ねぐらとしても利用されているようである.もうひとつは,敦賀市樫曲の中池見湿地にあるヨシ原である.ここは,少なくとも1996 年から集団ねぐらが観察されており,主に9 月上旬頃に形成される.何グループかに別れてヨシ原に入るので,利用している個体数は不明である.
保護の現状
 と留意点
 ツバメ類のすべての種は,現在,「鳥獣保護法」により捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.また,集団ねぐらは,一度,破壊されると,そこを利用していた多くの種・個体に影響がでるので,慎重な対応が求められる.ツバメのような普通種の増減は,生態系に与える影響も大きいと考えられる.まずは,ねぐらの場所や利用個体数などを詳細に把握することが重要である.ねぐらになっているヨシ原を残すことも大切であるが,放置すると遷移が進むので定期的な刈り取りなどの管理が必要となる場合もある.ただし刈る場合は,繁殖期やねぐらが形成される時期をはずし,広いヨシ原が確保されるように配慮すべきである.また,ヨシ原の保護は,ほかの動物の生息や水の浄化などの点からも重要である.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)