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名 称 |
敦賀市池河内湿原 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市:池河内(728,729) | ||
選定理由 |
生態学的に貴重なもの、生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
敦賀市の東に位置した,面積約4 ヘクタールの湿原である.周囲は低山に囲まれ,海抜300m の低地に形成されている.本湿原はかなり広い範囲からの湧き水,及び,周囲から内部に流れ込む水により潤されている.湿原の南東側は池溏となり,その水は笙ノ川に流れ込む.湿原を一周,横断できる木道が1988 年に整備された.本湿原は4 ヘクタールと面積はそれほど広くないが,湿地性の水生昆虫と,まわりの低山から進入してくる山地性昆虫が混在しているので,種数は比較的多い.カメムシ目で見ると,県内で最も種数の多い湿地の一つである.注目される昆虫を分類群で見てみると,チョウ目ではハンノキを食草とするミドリシジミの個体群密度の高さは本県随一である.また,ホシチャバネセセリ,ウラギンシジミ,アカシジミ,ウラクロシジミ,ミスジチョウの記録が注目される.トンボ目ではハッチョウトンボ,ルリボシヤンマ,コサナエ,ムカシヤンマ,ミヤマサナエの記録が注目される.コウチュウ目ではカッコウメダカカミキリ,エゴヒゲナガゾウムシなどの記録が注目されるが,この湿原の優先種とも言えるムナグロチャイロテントウの存在は重要である.ムナグロチャイロテントウは県内でも2,3 ヶ所でしか記録が無く,これだけ高い個体群密度を示す湿地は他に見られない.また,その近縁種のクロスジチャイロテントウや,アラキシロホシテントウなどの湿地性テントウムシの分布も特筆に値する.カメムシ目ではヨコバイ類の種数が他の湿地と比べ多いことが特徴である.これは湿原内植相の豊かさを示しているものと思われる.また,個体数はそれほど多くないが,オオコオイムシの分布も注目される. | ||
保護の現状 と留意点 |
現在の所,本湿原は県自然環境保全地域に指定され,自然豊かな状態で良く保護されていると思われる.ただし,湿原内には周りからハンノキが進入してきており,湿原の乾燥化,さらには湿原面積の減少が危惧される.本湿原の昆虫相が山地生のものと湿地生のものが混在しているという点で,周りの低山地も含めた総合的な保護対策が今後も重要であると考えられる. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |