福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 大野市赤兎山の赤池
学   名
分 類 1 昆虫類
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:赤兎山(93)
選定理由 生態学的に貴重なもの
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  赤兎山は,白山山系にあたる,大野市と勝山市の境界に位置する標高1,628m の山で,山頂から東に下った尾根筋に沿って発生した凹地には,雨水がたまって出来たオオミズゴケを基底とした湿地と赤池がある.モウセンゴケ・ミカズキグサ・ホタルイなどの小群落がつくられており,小さいながらも,高層湿原の景観を保持している.赤池およびその周辺の湿地には,山地性の種と,寒冷地性の種がみられる.また,良く開けた尾根筋であることから,山頂部に向かって吹き上げられて来たものと考えられる平地性の種もみることができる.赤兎山の湿地には,北方系のトンボとしてカオジロトンボ・エゾイトトンボ・カラカネトンボの3種類が生息し,カオジロトンボとカラカネトンボは当地が南西限にあたる.特に,カオジロトンボは県内唯一の産地となっている.この他には,アジアイトトンボ・アオイトトンボ・ルリボシヤンマ・オオルリボシヤンマ・タカネトンボ・オオシオカラトンボ・アキアカネ・ミヤマアカネ・ノシメトンボ・ウスバキトンボ・スゲハムシ・ヒヨドリバナアシナガトビハムシ・ヒメトビイロケアリ・ウラクロシジミ・フジミドリシジミ等がみられる.赤池と周辺の湿地の規模は小さいながらも,大変貴重な種が生息している.
保護の現状
 と留意点
 湿地の中央部に登山道が通っているために,登山者による湿地植物の踏み荒らしが増加してきている.近年の登山ブームとも重なり,ハイカーの数が増えてきており写真の撮影や植物の盗掘のために,湿地内に踏み入る者が後を断たず,湿地の裸地化を招いている.かつては,登山者の数が少なかったため湿地の景観が保たれていたものと考えられ,県内唯一の高層湿原ともいえる同地が消失することは,生息している希少なトンボ等の絶滅を招く.将来的には,湿地内の登山道を木道にするか,ルートを湿地内からずらす等の積極的な湿地の保全策が必要と考えられる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)