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名 称 |
マエダテツチスガリ | ||
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学 名 |
Cerceris pedetes Kohl | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
ハチ目フシダカバチ科 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
大野市:小池(56),菖蒲池(233),和泉村:朝日前坂(63) | ||
選定理由 |
希少種 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
本種は,1887 年に朝鮮半島産の雌の標本に基づきKohl が記載した.その後,東部シベリア,満州,日本からも記録されたが,いずれも雌の標本のみであった.1963 年に大野市菖蒲池(真名川河岸)で初めて雄の標本が採集された.本種は日本では青森,山形,埼玉,石川,福井の諸県から記録されている.各県とも採集地は河川の中,上流域である.古くはハチのことを「すがり」と呼び,ツチスガリとは土の中に住むハチと言う意味である.ツチスガリ類は日本には17 種いるが,どれも地中に巣を作り,ハナバチ,ゾウムシ,ハムシ類を狩る.マエダテツチスガリは,雌の頭盾付属片が60 度ほどの角度で突起し,兜(かぶと)の前立に似ているところから付けられた和名である.河川域の砂地に営巣しゾウムシ類を狩ることが知られている.他のツチスガリ類と同じように、坑道を掘ると,育房を作らないうちから狩りを連続して行い,2 〜3 室分の獲物を土中の坑道に仮貯蔵する.その後で育房を作り獲物を運び込むものと思われる.本県では大野市小池,菖蒲池,和泉村朝日前坂から記録されているが,いずれも1979 年以前のものである.今回の調査では本種を発見することが出来なかった. | ||
保護の現状 と留意点 |
20 年前の和泉村朝日前坂は,河原を少しならしただけのキャンプ地で,多くの砂地性昆虫に混じってマエダテツチスガリがたくさん生息していたが,その後の大がかりなキャンプ場の整地の結果,砂地性昆虫はすっかり見られなくなってしまった.ツチスガリ類は,海岸,河川の砂地,切り通しになった小さな崖,山道の裸地,神社の縁下などに営巣する.保護のためには営巣地の地表環境を保全しなければならない.営巣地については,機械力によって地表を掘り返すような工事は出来るだけ慎まなければならない. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |