福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 カラトイスカバチ
学   名 Passaloecus koreanus Tsuneki
分 類 1 昆虫類
分 類 2 ハチ目アリマキバチ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:町屋町(551),開発町(551),敦賀市:常宮(863)
選定理由 希少種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  本種は1976 年にフィンランドのメリスオ博士により,Passaloecus iwatai の学名で記載されたものであるが,1982 年に常木勝次博士によって,Passaloecus koreanus のシノニムにされた.カラトという和名は岩田久二雄博士の命名によるもので,博士がこの蜂の生態観察を行った兵庫県六甲山麓の唐櫃(からと)の地名に由来する.その後,常木博士は静岡県三島からミシマイスカバチを記載されたが,これは本種と同じものであると思われる.日本では埼玉,東京,静岡,石川,福井,兵庫の諸県から記録されている.本種はワモンイスカバチに大変よく似ているが,雄の触角の黒色斑紋や後頭部の形態などが異なる.またワモンイスカバチは山地に生息するが本種は平地に多いなど,分布域の違いも見られる(埼玉・福井県).朽ち木の虫孔や細い竹筒に巣を作り,いろいろな種類のアブラムシ(アリマキ)を狩る.1 つの育室に30 〜40 匹の獲物を貯えて,針葉樹の樹脂で部屋を仕切る.小さい蜂なのであまり人目を引かないが,造巣基に恵まれると一カ所に多数発生するようである.本県では敦賀市常宮,福井市町屋町,開発町から見つかっている.
保護の現状
 と留意点
 今回のみどりのデータバンク調査で,本県から初めて見つかったハチである.敦賀市常宮では常宮神社の拝殿の縁板,福井市町屋町では古い木造家屋の縁下に営巣することが観察されている.同様な場所を精査すれば記録はもっと増えると思う.最近古くなった神社仏閣がコンクリート製に建て変えられているが,農作物や花卉を食害するアリマキの天敵である本種を保護するためにも,また日本古来の木造建築物の文化を継承するためにも,神社,寺院,公共の建物は木造にしてほしいものである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)