福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 アケボノベッコウ
学   名 Anoplius eous Yasumatsu
分 類 1 昆虫類
分 類 2 ハチ目ベッコウバチ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:中池見(805)
選定理由 生態学的に貴重なもの
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  岩田久二雄博士が大阪府池田市で採集した標本に基づき,1936 年に安松京三博士が記載されたクロベッコウ(Anoplius )属のハチである.体長約2 pでクロベッコウ属の中では大形のほうである.全身が真っ黒で翅の曇りも強い.他の近似種との識別点の一つに,脚の付節の下面が扁平で,両側に細かい毛が生えている(特に前脚第1 付節で顕著)ことがある.本種は水辺に住み,獲物のハシリグモを水面を滑走して運ぶことが知られているが,付節下面の平たいことは水面で浮力を得るための適応であろう.九州(鹿児島,福岡県など),本州中部以西(埼玉,福井,大阪,兵庫,広島県など)に分布するが数少ない珍しい種である.本県では敦賀市中池見で記録され,クモをくわえて水面を滑走することが,2 回にわたり観察されている.
保護の現状
 と留意点
 中池見で確認されているだけであるが,県内の湿地や湖沼の近くに生息することが推測される.採集して種名を確かめなかったが,大野市笹生川ダムでも水上を滑走してクモを運ぶことが観察されている.本種は水辺の朽ち木や土の中に簡単な巣を作るので,湖沼周辺の自然環境を維持保全することが大切である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)