福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 ニッポンモモブトコバネカミキリ
学   名 Merionoeda formosana septentrionalis Tamu et Tsukamoto
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目カミキリムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
若狭町(旧三方町):常神(1015),御神島(1016)
選定理由 希少種、分布限界種、生態学的に貴重なもの
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  西南日本の海岸部や島嶼を中心に分布する珍しいカミキリムシである.基準産地は京都府冠島で,3 頭の雌に基づき1952 年に新種として記載された.体長6 〜9mm の小形の種ではあるが,後脚腿節の先端部が瘤状に肥大し,特徴的な格好をしている.分布は本州(西部),冠島,四国,姫島,九州,対馬、五島列島若松島,幸島,種子島,屋久島,口永良部島,中之島となっているが,全国的に記録が少なく,珍しい種である.福井県では,1993 年に三方町常神半島先端部の小高い山の頂で,下から風に吹き上げられてきた1 ♀が採集され,福井県新記録ならびに分布北東限として報告されたが(酒井,1993 ),その後当地域のすぐ西側にある御神島からも数頭が採集されている.本種は,九州や四国などの暖地を中心に分布している種であり,遠く離れた冠島(京都府)や福井県での分布は大変注目すべきである.似たような分布をするカミキリムシとして,冠島や三国町雄島に分布するオガサワラチャイロカミキリもあげられ,これらは対馬暖流により伝播されたものが土着するに至ったと考えられる.
保護の現状
 と留意点
 常神半島先端部まで道路が整備され,訪れる観光客もかなりの数になるものと思われるが,急峻な断崖地形が続く半島だけに,本種が生息している環境が急激に悪化するとは思われない.ただし,災害防止のための工事等は,可能な限り自然のままの環境が残せるよう,十分に配慮して行う必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)