福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 ミスジナガクチキ
学   名 Stenoxylita trialbofaciata (Hayashi et Kato)
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目ナガクチキムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:刈込池(38),池ヶ原(79),南越前町(旧今庄町):板取(683)
選定理由 希少種
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  体長約10mm 前後,ナガクチキムシ類は美しい種が多いが,本種はその中でも取り分け美しい種である.細長い筒形,頭部は前胸に隠れ背面からは見にくい.前胸背板は黒褐色の前方を除いて明るい赤色,鞘翅は黒色で,3 本の屈曲した白い帯を持つ.脚は前付節を除いて黒い.触角はやや短く目立たない.♂は前付節が顕著に広がる.本州のみに分布する.ブナ帯に生息し,各種朽ち木に付き,主にブナの古い立枯れの樹幹部を好むらしい.非常に少ないが,数頭で付いている事が多い.初夏から梅雨半ばまでに発生する.本県では奥越山地と丹南山地で確認されており,ブナ帯で得られている.6 月から7 月に採集されており,梅雨明けには姿を消す.樹皮が無くなり,崩れる直前のかなり古くなったブナと思われる立枯れの樹幹で得られており,刈込池と池ヶ原では同時に複数得られた.直接日が差し込まない,やや薄暗い林内に生息している.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査では,大野市の2 ヶ所のみで記録された.初記録である1979 年当時は全国でも数例だけであった(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ).今回の調査では,同じく大野市と新たに今庄町から記録され,丹南地方からは初めてである.野外でも判別出来る顕著な種なので,産地の追加が乏しい.本種はかなり保存状態の良いブナ林のみに生息している.保存状態の良い森林は本種をはじめ,全国でも貴重な生物を豊富に生活させている.生息環境全体の保全対策が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)