福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 ナカイケミヒメテントウ
学   名 Scymnus nakaikemensis Sasaji et Kishimoto
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目テントウムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:中池見(805)
選定理由 分布限界種、生態学的に貴重なもの
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  体長1.7 〜2.0 o.小形で美しいヒメテントウである.クロスジヒメテントウに酷似するが,亜属が異なり,腹部第1 節の腿節線が完全なことで区別できる.1996 年,中池見湿地を基準産地として新種記載された.固有種と思われていたが,最近,栃木県渡瀬遊水池でも発見されている.通常,テントウムシは日当たりのよい草地などに生育するが,本種は,湿原のヨシに生息するという特殊な生態をもつ仲間の一種である.中池見湿地が分布北限にあたる.県内では唯一,敦賀市中池見湿地から6 月に記録されている.中池見は水田の広がる湿地であり,そこに生育するヨシをスイーピングすることによって採集されることが多い.
保護の現状
 と留意点
 本種の生息は,湿原に依存しており,分布上も生態学的にも非常に重要である.本県唯一の産地である敦賀市中池見湿地は,25ha の湿地であるが,敦賀市街から徒歩30 分程度の地理的位置にありながら,その地形は袋状埋積谷のいわゆるおぼれ谷で,通常の近代水田耕作を困難にしている.そのため,かつては日本列島各地に普遍的であったであろう自然環境の遺存を見ることができる(佐々治・岸本,1996 ).周囲に存在する自然林を含め,自然度の高い環境が良く保存されている地域である.現在,中池見湿地ではLNG 備蓄基地建設の計画が進んでいる.事業者は,環境影響評価の結果を踏まえ保全エリアの設定を計画しているが,おそらく厳しい環境に遺存してきたであろう本種の存続可能性について懸念する意見もあり,充分な保全対策が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)