福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 オオチャイロハナムグリ
学   名 Osmoderma opicum Lewis
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目コガネムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:下打波(56),仏原ダム(120),池田町:冠山(344),南越前町(旧今庄町):夜叉ヶ池(497)
選定理由 希少種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  体長20 〜30mm ,重量感のある大形のコガネムシ.全体濃褐色,腹部は膨らみ,背面から見える.頭部は小さく,前胸は小柄で前半中央に縦溝を持つ.本州・四国・九州・屋久島に分布する.梅雨後半から秋口に掛けて出現する.保存状態の良いブナ帯に生息し,広葉樹の太い朽ち木のウロ内で成育する.普段はあまりウロからは離れず,普段は目に付かないが,特に雨上がりに飛翔し,ときに燈火に飛来する.体から独特の匂いを発し,本種が潜んでいるウロ周辺に漂っているという.一見カブトムシの♀に似ている.本県では大野市,今庄町,池田町で記録され,7 ,8 月に採集されている.本県の分布もブナ帯と一致するが,保存状態の良い中山帯に限られる.太い朽ち木のウロ内のフレーク質で育つようで,大野市池ヶ原では幼虫が見出されている.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査では大野市,今庄町,池田町で記録され(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ),今回の調査でも大野市での報告である.前調査の下打波と今回の仏原ダムは近接した地点である.太い朽ち木のみで成育するが,このような朽ち木の成り立ちには数十年を必要とし,古くから伐採されずに残された森林を土台とする.現在,本種が記録された地域は極度な伐採あるいは開発は行われていないようであるが,小規模な伐採は各所で行われており,決して環境が保たれているわけではない.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)