福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 ルリクワガタ
学   名 Platycerus delicatulus delicatulus Lewis
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目クワガタムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:刈込池(38),荒島岳(142),池ヶ原(79),和泉村:朝日前坂(63)
選定理由 希少種、生態学的に貴重なもの
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  体長約13mm 前後,体格には個体差が大きい.♂は緑から青い光沢を持ち,♀は銅色から紺色に鈍く光る.脚は黒い腿節末端を除き黄色.大あごの個体変異は他のクワガタムシ類と比較して小さい.本州,四国,九州に分布し,一部で亜種が設定されている.よく保存されたブナ林に住み,ブナの朽ち木に集まる.本県では大野市,勝山市,和泉村のいわゆる奥越山地に分布しているが,なぜか丹南のブナ帯では確認されていない.太いブナの朽ち木で成育し,成虫は春に現れ,梅雨半ばには姿を消す.♀は朽ち木に独特の産卵跡を残す.本県産の♂個体の体色は緑色系が主流で,♀は銅色から紺色に変化する.本県には同属種としてコルリクワガタが知られており,丹南や丸岡町等ルリクワガタより分布域が広い.また,ルリクワガタは標高1000m 前後のブナ林に生息して,やや少ないに対し,後種はやや下部にも分布域を広げており,ブナだけに依存はしていないらしい.ルリクワガタは後種より強壮で,前胸後角は鈍角で突出しない点で区別出来る.本州では本属は他に2 種知られているが,本県は分布域から外れると思われる.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査では大野市,和泉村から確認された(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ).今回の調査では大野市刈込池から記録された.いずれも奥越のブナ帯であり,大きな分布状況の変貌はないだろう.ブナ林は日本を代表する環境であるが,年々失われている.自然林の意義を理解し,貴重な自然環境の保護の観点から施業上の配慮が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)