福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 オオクワガタ
学   名 Dorcus hopei (E.Saunders)
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目クワガタムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:大安町(660),大野市:鳩ヶ湯(76)
選定理由 希少種
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  体長♂約30mm 〜70mm ,♀約25 〜40mm .幅広く,重量感があり,国産クワガタムシ類の中では最大種の一つ.しかし,大形の個体は極めて少なく,一般では小〜中形の個体が多い.♂の大あごの歯は上から出て,大形では先端に近くて斜め前上に向き,小形になるにつれ基部に近付き内側を向く.♀は鞘翅の点刻列が明瞭.北海道から九州と対馬に分布し,北海道では南部のみ.平地から丘陵の古くから利用されてきたクヌギ林に住むが,東北では山間のブナ林にも進出している.大木のウロや穴に潜み,夜間のみ姿を出すため,一般には極めてまれだが,実際には決して少なくないらしい.ときに灯火に飛来する.本県での記録は福井市大安寺と大野市鳩ヶ湯のわずか2 産地のみで,嶺南では未記録である.大安寺は近年の確実な記録で,当地は低山で保存の良いクヌギ林が広がっている.一方,鳩ヶ湯の記録は古く多少疑問の残る記録である.当地はブナ帯で,ヒメオオクワガタ等寒冷地傾向の昆虫相が知られている.下野谷(1980 )は鳩ヶ湯の記録に関して,現存する当記録の標本を本種と確認した上で,本種の当地分布に強い疑問を投げ掛けている.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査では,上記福井市と大野市の記録が上げられた(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ).しかし,今回の調査では,全く追加報告は出来なかった.本種の採集には,専門的な知識と技術を要するため,分布調査は遅れている.本県嶺北地方の丘陵〜低山地に照葉樹林の伐採後,コナラ,クリ,クヌギなどの二次林が広がっていたと思われるが,ゴルフ場・住宅・工場等種々の開発で急速に消失している.このような地域は自然と人間との最も近い接点であり,共存が必要な地域である.特に本種のような暖地性昆虫の保存は,本県の自然特性を守るために必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)