福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 マダラクワガタ
学   名 Aesalus asiaticus asiaticus Lewis
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目クワガタムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:池ヶ原(79),和泉村:鷲鞍岳(103)
選定理由 希少種
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  体長約5mm 前後,小形のコガネムシのようなクワガタムシらしからぬクワガタムシ.体は強く隆起し,頭部は小さいため,普通は背面からは認識しにくい.♂の大あごは小さいながらも上方へ突出する.触角はL字形.褐色で,鞘翅に黒毛の生えた瘤隆起列を持つ.琉球を除くほぼ全土に分布し,北方に多い.中山地帯に生息し,さほど自然度の高くない林でも見られる.広葉樹の朽ち木に住むが,樹種よりも朽ち木の状態を選択しているらしい.普通は単独で暮らさず,集団でいることが多い.通常は朽ち木中に潜んでいるが,初夏には外に出て分散するらしい.本県では大野市と和泉村の2 例のみが知られている.いずれも6 月の1 ♂のみで,分散時の個体と思われる.採集された地点はいずれもブナ林で,朽ち木より得られている.このような採集例は県外でもまれで,朽ち木崩しによる採集方法が一般的であり,本県でも朽ち木崩しによる探索が進めば,産地は増えるだろう.一見,木屑に似た姿で,ましてやクワガタムシとは思えない風貌のため,採集した時は本種と気付きにくい.ゴミムシダマシ類等に似るが,触角の形状で区別できる.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査では,和泉村鷲鞍岳より記録された(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ).今回の調査では,大野市池ヶ原より報告された.本種は朽ち木で成育するが,どのような状態でも好まれる訳では無く,赤く朽ちた木を選んでいる.このような朽ち方が,自然林にとって良好な状態を示すものかどうかは不明だが,林の状態が安定しなければ,選択性を持つ本種の生存は難しい.人手が加えられなくても自然は移りゆくものであるが,そのような変化は,選択性を持つ生物を駆逐するようなものではない.しかし,人の手による変化は早く,特に選択性を持つ生物は付いてゆけず,絶滅を余儀なくされる.このためにも自然の保全は必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)