福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
両 生 類
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名   称 ダルマガエル
学   名 Rana porosa brevipoda
分 類 1 両生類
分 類 2 カエル目アカガエル科
位   置
(2kmメッシュ番号)
美浜町:金山(949),若狭町(旧三方町):気山(960),北前川(962),黒田(976)
選定理由 希少種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説   ダルマガエルは環境庁による「両生類・爬虫類のレッドリスト」の中で,生活環境の変化などにより種の存続が危ぶまれているものとして,「絶滅危惧U類」として掲載されている貴重な両生類である.日本固有の種でトウキョウダルマガエルの亜種とされ,四国や本州山陽地方から近畿中部,東海地方にかけて分布している.福井県で現在まで最も確実とされる生息地は三方郡三方町のみであり,嶺南地方最大の河川である南川やその近くの北川流域では報告されていない.近年,水田や低湿地の埋め立て等による環境悪化に伴い,その生息地が急速に狭められている.
 ダルマガエルの特徴は手足が短くダルマ型をしており,一見して近縁種であるトノサマガエルとは区別できることである.また,背中の中央を通る背中線がなく,背面の暗色班は融合せずに孤立し,腹面にのどから腹部にかけて細かい暗色斑が見られることもトノサマガエルとは大きく異なる特徴である.
 福井県産のダルマガエルは岡山県産の典型的なダルマガエルと同じ外部形態形質をもつ.また,ダルマガエルでは本州での分布が西から東になるにつれ,トノサマガエルに似た特徴を持つように推移している傾向があることは興味深い.成体の体色は雌雄ともに濃紫褐色であるが,側頭部付近に緑色を帯びた個体も見られることがある.   
 ダルマガエルの生息地は主に水田でトノサマガエルと重複して分布しており,繁殖期は6月頃でトノサマガエルと重っている.しかしながら,繁殖期のダルマガエル雄の鳴き声(メーティングコール)はトノサマガエルとは明らかに異なっており,両種の間で競合を避け,生殖的隔離を保っているものと考えられる.
保護の現状
 と留意点
 本種が本県で初めて発見されたのは約10数年前で,嶺南地方若狭湾沿岸のわずか数ヶ所の水田地帯であった.最近,その生息場所の再調査が行われたが,ダルマガエルは発見されていない.また,新たなダルマガエルの生息場所として,三方町の山間部の水田地帯が見つかっているが,非常に限られた狭い地域であり決して個体数は多くない.
 このように本種は水田の埋め立てや耕地整理などの環境整理の影響を受けやすく,本県での生息地では絶滅も懸念される状況である.実際に本州の他の生息地が消滅してきており,本県でも早急に本種の保護対策を講じる必要がある.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)