福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 天満神社のスダジイ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:小黒飯 天満神社(1158)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  天満神社は高浜町小黒飯の海岸線を通る道路脇に位置している.石段を登ったところには,自生か植栽かは不明だが,カゴノキが2 本並んで生育しているのが目にとまる.どちらも径30cm ほどで,樹肌に本種の特徴である鮮やかな鹿子模様が表れている.拝殿裏側の山地斜面にスダジイの優占する照葉樹林が自然林として残存する.林冠を形成するスダジイは,胸高直径40cm 〜80cm で,これにタブノキ,ウラジロガシが加わる.林内にはアラカシ,リンボク,モチノキ,アオキ,ヤブツバキ等が生育している.本林分で特徴的なのは林床にホソバカナワラビとアリドオシが高い被度で生育していることである.アリドオシは,茎に鋭いトゲを持つ暖地性の植物で,関東以西の本州,四国,九州,南西諸島の山地に見られ,日本海側での分布は本県の美浜町を北限としている.アリドオシが林床一面に群生する林分は,本県では他に例がなく,景観的にも特異なものといえる.また,林内に出現するリンボクはバラ科の常緑小高木で,アリドオシと同じく関東以西に分布する暖地性の植物であり,若狭地方を日本海側の北限としている.組成的には単純な林分であるが,暖地性のアリドオシ,ホソバカナワラビを多量に含み,更に,リンボクの生育も認められることから,社叢として残されているスダジイ林の中でも特に貴重なものであるといえる.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園内に位置すること,また社叢であることから現状では,よく管理,保存されている.今後も同様に保護されていくことが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)