福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 内浦湾沿岸の照葉樹林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:内浦湾沿岸(1156,1157)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  内浦湾は,福井県の西端部に位置し,京都府境の正面崎と押回鼻に囲まれた若狭湾の内湾である.外湾に面した側には海蝕崖がよく発達し,中でも音海断崖は海面からの高さ250m 以上にも達する日本海側でも有数の断崖地形である.また,この地域に分布する新第三紀と三畳紀の地層は,多くの動物化石を産する.本地域は,温暖な気候下にあり,スダジイ林を中心とした照葉樹林が各所に残されている.特に広瀬鼻から押回鼻に至る沿岸地域では,スダジイの優占する群落が萌芽林も含めるとかなりの面積を占めている.それらの林分には,高木層にスダジイ,タブノキ,ハゼノキなど,亜高木層にヤブツバキ,スダジイ,モチノキ,タブノキ,コバノガマズミ,ヒサカキなど,低木層にヒサカキ,ヤブツバキ,クロモジ,ヤブムラサキ,シロダモ,モチノキなど,草本層にはアオキ,ヒサカキ,ヤブツバキ,ムベ,ジャノヒゲ,ベニシダ,ヤブランなどが生育している.若狭湾一帯には,このような多くの暖地性植物によって構成されるスダジイ林(スダジイ−ヤブコウジ群集)が沿岸の傾斜地に沿って広く分布するが,中でもこの内浦湾沿岸にはまとまった面積で残存している.本地域は,かつて若狭地方が照葉樹林に被われていた頃の原風景を残す場所として貴重である.
保護の現状
 と留意点
 本地域では,原子力発電所などを伴う開発や森林伐採等で,かなりの森林面積がすでに失われてきている.開発の計画に当たっては本地域の照葉樹林が持つ景観的価値を十分認識した上で自然環境の保全に十分配慮する必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)