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名 称 |
一ツ谷国有林の暖地性植物 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
名田庄村:一ツ谷(1115,1116,1126,1127) | ||
選定理由 |
学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
一ッ谷は,京都府との県境を東西に走る若丹山地のやや西部に位置し,名田庄村井上付近から南に入る渓谷である.地層は頁岩による中・古生層からなり,急峻な渓谷地が見られる.本地域の森林は,渓谷に特有の多様な林相を呈し,やや乾燥した凸状斜面などにはアラカシの優占した林分が,湿潤地にはサワグルミ,オオバアサガラ,ケヤマハンノキが優占した林分が見られる.現在,本地域の大部分は国有林となっている.本地域には,シマシロヤマシダ,ホウノカワシダ,ヌカイタチシダモドキ,ナチシダ,アオネカズラ,トゲカラクサイヌワラビ,イワヤシダなどのシダ植物やバンジンガンクビソウ,オオバチドメ,タマミズキ,リンボク,コジキイチゴ,カキノハグサなどの暖地性植物が極めて数多く自生している.この中には,全国的にも分布上注目すべき種も多く含まれている.ホウノカワシダは,主に伊豆半島以西の太平洋側に分布し,本州日本海側では本県と山口県だけに見られる種である.ナチシダは高さ1 〜2m にもなる大型のシダで,伊豆の群生地は天然記念物に指定されている.両種とも本地域が北限の産地となっている.また,ヌカイタチシダモドキ,アオネカズラ,シマシロヤマシダなども北限に近い種である.昭和9 年(1934 年)に本地域を調査した田代善太郎氏(当時 京都大学)は,ここをシダの宝庫として絶賛したそうである.現在でもこのように暖地性の希産種が多く生育するところは,県内で他に確認されておらず,植物地理学上極めて貴重な地域といえる. | ||
保護の現状 と留意点 |
近年,林道の延長や伐採等により,植生改変が進んだ所もある.本地域には貴重なシダ植物が多いが,シダ植物は湿潤な環境を生育地とするため,周辺環境のわずかな変化にも影響を受けやすい.周辺の自然環境を含め,保全のための十分な配慮が望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |