福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 大島半島の植生
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
大飯町:大島半島(1095,1096,1130)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  小浜湾を形成する半島の一つが大島半島である.この半島の最高地は和田山の標高478mで,多くは200 〜300m の峰から成り立っている.浦底地区を境に,南半分は主に超塩基性岩からなり,北半分は全体的に中・古生層と火成岩が分布し,宮留から先端の待ちの山で超塩基性岩が現れている.半島先端部の大飯原子力発電所周辺の山地斜面には,スダジイを主体にした原生林や萌芽林がよく残存している.林間にヒメユズリハ,ヤブツバキ,ヒサカキ,シロダモ,ヤブニッケイ,クロモジ,ヤブムラサキなど,林床にコウヤボウキ,テイカカズラ,トキワイカリソウ,ジャノヒゲなどが優占した林分である.半島の基部にあたる釈迦浜には,ユウスゲの群生が見られる.本種の県内での分布地は極めて少ないことから,貴重な場所といえる.一方,赤礁崎付近ではヒメユズリハが優占する林分が認められる.ヒメユズリハは,日本海側では敦賀市を北限とし,若狭地方では海岸付近の林間に見られるが,成林することは珍しい.また,この辺りにはビワの自生も見られる.また,待ちの山では,ヒメユズリハやアカマツを主にした高さ5 〜8m 程度の矮小化した低木林叢が分布している.林冠の植被率は一定せず,他にヤマモモ,コナラ,ヤブニッケイ,リョウブ,シロダモが混在し,林床にイヌナヨダケ,クロモジ,ヒサカキ,ツルアリドオシ,キンキマメザクラ,トキワイカリソウなどが生育しており,複雑な林相を呈している.このような植生が成立するのは,過去の人為的な影響の可能性もあるが,超塩基性岩を母岩とした浅く,貧栄養の土壌が原因と考えられる.
保護の現状
 と留意点
 近年,この半島の自然環境は,北端部の原子力発電所の建設,道路の拡張整備などによって大きく変化してきている.今後も開発が進められることが考えられるが,周辺の自然環境との調和に十分配慮することが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)