福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 久須夜神社の照葉樹林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
小浜市:堅海 久須夜神社(1057)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  久須夜神社のある堅海集落は,内外海半島の西岸に位置している.神社は集落の東側にあり,その後背斜面に照葉樹の林が残っている.この社叢林は「烏帽子の森」と呼ばれ,昭和63 年には小浜市の天然記念物に指定されている.神社裏手の平坦で土壌が発達したところには,タブノキがよく生育している.隣接した場所にスギやヒノキの植林が見られるが,ここも以前はタブノキの林であったと思われる.ここから斜面を少し登ると,傾斜が急になり,タブノキからスダジイに林冠優占種が変化している.この林の高木層を構成するスダジイは大木が揃っていて,7 本の胸高直径を測定したところ,平均が70 pを越えていた.そのうち最大のものは胸高直径160cm もあるが,幹の下部に空洞が見られることから,樹勢は衰えているものと思われる.林冠には,この他にウラジロガシやケヤキの大木が見られ,林間にはヤブツバキ,ヒサカキ,モチノキ,スダジイ,シロダモ,イヌマキ,ヤブニッケイなどが見られる.林床は腐植層が少ない上,植被率も約20 %と低く,ベニシダ,ホソバカナワラビ等が散見される程度である.下方の林縁部には,傾斜のゆるいところにホソバカナワラビの群生が見られる.本種は関東地方以西に分布する暖地性のシダ植物で,若狭地方は日本海側での北限域に近く,分布上貴重な植物である.
保護の現状
 と留意点
 社叢林全体が小浜市の天然記念物に指定されているため,今後も保護されていくものと考えられる.今後,更に周辺環境の保全にも留意する必要があろう.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)