福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 大御影山のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
美浜町:大御影山(929)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  美浜町新庄地区を過ぎ,粟柄谷に沿って林道を遡ると,滋賀県マキノ町との県境に達する.そこから滋賀県側へ少し下り,稜線上の山道を西に進むと,嶺南地方の最高峰大御影山(950.1m )がある.山麓の地域では以前より林業が盛んであったことから,植生にはかなり人手が加えられてきているが,山頂部近くにはかなり自然度の高い森林が残っている.県境に近い600m 付近からは,ミズナラ,ブナなどを中心とし,アシウスギが混生した落葉広葉樹の森林が,かなり広範囲にわたり分布している.特に県境の稜線上には,胸高直径50cm 前後のブナが林立する安定した林が分布している.林冠はほとんどブナに被われ,亜高木層にはブナ,ハウチワカエデ,マルバマンサク,オオカメノキ,ナナカマド,リョウブなどが目立ち,低木層にはクロモジ,タンナサワフタギ,ホツツジ,ヤマボウシなどが,草本層にはトクワカソウ,オクノカンスゲ,タンナサワフタギ,オオカメノキ,アクシバ,トウゲシバ,ツルシキミ,ヤマソテツ,シノブカグマ,ハナヒリノキ,ミヤマシグレ,ハイイヌツゲなどが見られる.本林分は,これらの組成から植物社会学的にはクロモジ−ブナ群集と考えられる.本群集は中国地方の日本海側を中心に分布するもので,本地域は東限付近と考えられ,群落の分布上注目されるところである.このブナ林を嶺南地方最高峰の植生として自然状態で保存することは,本県全域のブナ林を比較研究する上でも重要なことと思われる.
保護の現状
 と留意点
 本地域のブナ林は現在のところ自然更新下におかれ,森林の状態は良好といえる.今後も少なくとも稜線を中心とした標高の高い場所の林分は保護されることが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)