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名 称 |
白城神社のスダジイ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
常緑広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市:白木 白城神社(915) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
白城神社のある敦賀市白木は敦賀半島の北西部に位置し,北は日本海に面している.集落の近くには奇勝門ケ崎があり,また,東方には原子力発電所「もんじゅ」がある.神社の後背斜面には標高200m 付近までスダジイ林が分布している.その中には自然林に近い林分から萌芽林まで含まれるが,これほどの標高差の範囲に連続してスダジイ林が見られるところは県内では少なく,沿岸域におけるかつてのスダジイ林の分布を知る上で重要である.神社裏の面積0.5ha ほどの斜面に見られるスダジイ林は,かなりの大木が見られ,自然林の様相をよく保っている.高木層を形成するスダジイの胸高直径は大きなもので70 〜100cmである.高木層にはモチノキが混じり,林間はヤブツバキ,モチノキが優占し,タブノキ,ヤブニッケイ,シロダモ,トベラ,ヒメユズリハなどが見られる.林床にはスダジイの実生が多く見られる他,トベラ,ヤブニッケイ,マルバグミ,ベニシダなどが生育している.また,特筆すべき点として,県内では分布地の少ないツゲが,かなりの個体数で見られることがあげられる.本殿のすぐ後には,敦賀市指定の天然記念物になっている胸高直径1.5m ほどのクロマツがある.そのやや下方には直径約1.9m の新しい切り株があり,300 ほどの年輪が数えられた.また,少し上方のスダジイ林内にも直径約1mのクロマツの切り株があり,その年輪は330 余りであった.クロマツは陽樹のためスダジイ林内では生育できないことから,300 年ほど前は,ここにクロマツ林があり,その林下に芽生えたスダジイが現在の高木層を形成しているものと考えられる.このように成立年代が推定できる森林は県内ではほとんどなく,森林の遷移を研究する上でも本林分は貴重といえる. | ||
保護の現状 と留意点 |
白城神社裏の林分は,自然林の状態がよく保たれている.林内には,スダジイの倒木を始末した跡などが見られ,白木地区の人々がよく管理していることが伺える.今後は上部の萌芽林も含め,より広い範囲で保護されていくことが望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |