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名 称 |
武州ヶ池のタチヤナギ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
河畔林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
福井市:武周町 武周ヶ池(878) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
武周ケ池は,福井市から越廼村に抜ける県道福井四ケ浦線沿いの風尾町から南西方向に山道を行ったところにある.本池は大味川の上流にある河谷に沿ってできた周囲約4km の小さな「堰き止め湖」である.その成因については伝説があり,それも手伝ってか,山に囲まれ深閑としたこの湖には,神秘的な様相が漂っている.現在は発電に利用するために堰止め部分がダムに改良されている.この湖の周辺には,標高600m 以下の山地が配列し,上流部の集水域には標高約700m の越知山,六所山がある.湖に流れ込む谷川の水に運ばれた土砂が,湖の上流部に扇状地状に堆積したところに,タチヤナギの叢林が広がっている.樹高5 〜7m くらいのタチヤナギが純林を形成し,林床には,イヌタデ,ミゾソバ,ヒメシロネなどが僅かに生育するだけで構成種は極めて少ない.本林分は,植物社会学的にはタチヤナギを標徴種とするタチヤナギ群集に属するものと考えられる.本県において,これだけの規模で純林を形成していることは珍しく,生態地理学的に貴重である.湖の周りの山は,スギの植林化が進んでいる.タチヤナギは,北海道から九州まで広く分布する落葉亜高木で,低地の湿原や河畔に生育する.種子で繁殖し,群生する.雌雄異株で,4 〜6 月の葉が十分に伸びない時期に花穂をつけるが,雄しべが3 個あるのが著しい特徴である.タチヤナギの名は,幹がまっすぐ立って見えることからつけられている. | ||
保護の現状 と留意点 |
タチヤナギ林は湖の上流部の土砂が溜まったところにあるため,人の手が加わることなく自然更新が続けられている.この林は,上流からの土砂の湖への流入を防ぐ天然の砂防ダムのような役割を果たしている.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |