福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 岩篭山のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:岩篭山(809,810,837,838)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  敦賀市の南約5km ,黒河川を挟んで野坂山と対峙するのが岩篭山である.標高は765m あり,野坂山,西方ヶ岳とともに敦賀三山と呼ばれている.山域の大部分はスギ,ヒノキ植林と伐採後のミズナラ二次林等で占められているが,標高450m 付近から上部にはブナ林が残存している.ブナ,ヤマモミジが林冠を形成し,林間にはオオカメノキ,マルバマンサク,クロモジ,タンナサワフタギ等が見られ,林床にはハイイヌツゲ,タンナサワフタギ,エゾユズリハ,ムラサキマユミ,イワガラミ,チシマザサ,ツルアリドオシ等が生育している.組成的にはクロモジ,タンナサワフタギが出現することから,県内では嶺南地方にだけ分布するクロモジ−ブナ群集に属するものと考えられる.また,山頂から東側の斜面下にはササ原が広がっている.その中に塔状の花崗岩がまるで庭石のように静座する通称インディアン平原と呼ばれる場所があり,独特の景観を作り出している.大部分はササによる草原であるが,一部には風衝作用によるものと思われる低木林が見られる.この低木林は,樹高は高くても1.5m までで,エゴノキ,ヤマボウシ,リョウブ,ヒサカキ,ハイイヌツゲ,オオコメツツジ,クロモジ等が構成種となっている.このような風衝低木林は嶺南地方では少ないが,野坂山(敦賀市)や三十三間山(三方町)などにも見られる.
保護の現状
 と留意点
 ブナ林に関しては,その直下まで植林が進められており,今後伐採が行われる可能性がある.山域の標高も低い上,ブナ林の分布範囲も限られており,何とか現在の状態で保存されることが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)