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名 称 |
東尋坊付近の海岸植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
海岸断崖地風衝草原 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
三国町:東尋坊付近(693,694) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
東尋坊は越前海岸を代表する景勝地として全国にも知られ,国の名勝・天然記念物にも指定(1935 年)されている.観光シ−ズンには多くの観光客が訪れている.この付近の海岸は海食崖が続き,そこでは露出した岩肌が絶えず波に洗われている.岩質は安山岩で,4〜6 角柱状の柱状節理がつくる断崖は,海面から数十メ−トルにも達するところがあり,雄大な光景を見せている.一時期,岩場先端部にまで張り出し,著しく景観を乱していた土産店舗は,環境整備事業により,撤去,移転が行われ,1989 年(平成元年)には,そこが公園化されて展望広場が創設された.一般に,海岸断崖地では,塩分を含んだ波しぶき,直射日光と風による乾燥といった厳しい立地条件に適応した植物が群落を形成する.本地域は,このような植生が見られる本県の代表的な場所の一つである.岸壁には,海岸風衝地に発達する常緑低木群落である,マサキ,オニヤブソテツ,トベラ,クロマツを標徴種とするマサキ−トベラ群集が発達する.トベラ,マサキなどの常緑低木の下には,草本植物のオニヤブマオ,オニヤブソテツ,ハマハタザオ,ハマボッス,ツワブキなどが生育している.また,断崖上部の平坦部では,薄い土壌層にコオニユリ,ススキ,ヨモギ,ヤマヨモギ,カワラナデシコ,アズマネザサ,ハイメドハギ,オニヤブソテツ,ハマウドなどの植物が生育し,海岸荒原を形成している.さらに後方にはクロマツ林が成立している.このクロマツ林はかつて植栽されたものであるが,見事なマツ林に生長して防風林としての役割をはたしている.日本海の荒々しい断崖景観に,これらの植物は優しさを与え,なお一層景観を引き立たせている. | ||
保護の現状 と留意点 |
環境整備事業により,景観的には改善された.これからも本県を代表する自然景観として,植生を含めた保全対策を講じていく必要があろう.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |