福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 金剱神社の社叢林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:江上町(658)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  金剣神社は福井市北東部の丘陵に位置し,福井市から鷹巣に通じる国道416 号線沿いにある.およそ280 段の石段からなる緩やかな坂道を登ると社殿や境内神社として意加美神社,神明神社がある.また,境内には礎石群や天文6 年(1537 年)の銘の入った灼谷石製の灯篭がみられる.スダジイ林(面積約1ha )は,社殿下の斜面に国道に沿って帯状に広がっている.このスダジイ林の構成種は,高木層にスダジイ,モミ,スギが混交し,亜高木層にはスダジイ,ヤブツバキ,シロダモ,コシアブラ,モチノキ,低木層にヤブツバキ,ヒメアオキ,ヒサカキ,スダジイ,タラヨウが,草本層にはヤブコウジ,ベニシダ,ヒメアオキ,ヤブラン,ネズミモチなどの常緑植物が多い.林冠を形成するスダジイの最も大きなものは,胸高直径1.2m もある老巨木である.本林分は,構成種からヤブコウジ−スダジイ群集に属するものと考えられる.神社の周辺はスギ植林,マツ林で自然植生から大きく改変されている.その中にあって,内陸部にこれだけの規模でスダジイの自然林が残存していることは貴重である.また,この社殿のある平坦な境内地には,胸高直径30 〜40cm ,樹高20m 以上におよぶモミが多数生育している.神社にはモミがよく植えられているが,福井市の足羽山などでは尾根上に自生しているのが見られる.本神社では,スダジイ林内にも生育することから自生とも考えられ興味深い.
保護の現状
 と留意点
 本林分は社叢林として保護されているが,上部では植林されたところも見られ,下部では,すぐ近くまで住宅地が迫っている.また,前を通る国道は交通量が多く,周辺環境は決して良いといえない.特にモミは環境汚染に弱い樹種とされるため,今後,モミの生育状況に留意すべきであろう.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)