福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 藤倉山のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
南越前町(旧今庄町):藤倉山(642,643)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  藤倉山は今庄町の市街の西側に位置する標高643.5m の比較的低い山である.藤倉山への登山道は,それぞれ新羅神社,白髭神社,八十八ケ所山側から登る3 コ−スがある.最もポピュラ−なのは新羅神社の参道より燧ケ城跡に至り,ここより急傾斜の尾根道を登るコ−スである.新羅神社登り口の標高200m に小規模のブナ林がでてくるが,これは福井県で最も低いところに生育するブナ林として注目されている(別掲).藤倉山のブナ林は,燧ケ城跡を過ぎ,急傾斜の登山道がやや緩やかになった標高500m あたりから出現するが,中でも尾根頂上部のやや平坦になった所には,胸高直径40cmぐらいの若い樹が林立する美しいブナの二次林が展開している.下草刈りが行われている林分では,森林の階層も単純であるが,長期にわたって人手が入っていないところでは階層が複雑になって,自然林に近い森林となっている.本林分の高木層には,ブナの他に,ミズナラ,ナツツバキ,コハウチワカエデ等が僅かに混生する.亜高木層は,ブナ,コハウチワカエデ,ハウチワカエデ,オオバクロモジなどが占めるが被度は小さい.低木層はオオバクロモジが優占し,その他にユキバタツバキ,エゾユズリハ,ヒメモチ,ユキグニミツバツツジ,チシマザサ,ハイイヌツゲ,ヤマウルシなどが,草本層には,ツルシキミ,ハイイヌツゲ,ヒメアオキ,エゾユズリハ等の常緑低木の他に,リョウブ,アクシバ,オオバクロモジなどの多くの植物が高頻度に出現する.藤倉山の登り口の標高200m のブナ林と標高500m 辺りから頂上付近に出現するブナ林を考え合わせると,かつてはこの辺りの山の標高200m 以上はブナ林で被われていたことが,現存植生から伺い知ることができる.今日では,藤倉山周辺の山は,里山として永年人の手が加わってきたため,ブナ林などの自然林に近い森林はほとんどなくなってきている.
保護の現状
 と留意点
 全体として若いブナの樹が多いが安定したブナ林として残存している.しかし,ブナ林の周辺は代償林化が進んでいることから,現存するブナ林も伐採されないか心配である.今後ともブナ林を積極的に保護するべきと考える.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)