福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 金草岳のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林・亜高山高茎草原
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町:金草岳(367,368,391392)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  金草岳(標高1227m )は,岐阜県との県境である越美山地(標高1200 〜1300m )の西部に位置する.山の北側の白倉谷や添又谷は足羽川,西側の藤倉谷は日野川,南側の道谷は岐阜県の揖斐川の上流である.白倉谷や添又谷の一帯には,標高約500m から山稜部にかけて,ブナ林が広い面積で分布するが,ここは「楢俣自然環境保全地域」として県の指定を受け保護されている.代表的な林分では,高木層にブナ,亜高木層にマルバマンサク,ハウチワカエデ,低木層にウスギヨウラク,オオバクロモジ,エゾユズリハ,ホツツジ,草本層にはチシマザサが優占するブナ−ウスギヨウラク−チシマザサ群落となっている.その他にもブナ−ウスギヨウラク−トクワカソウ群落,ブナ−オオバクロモジ−ツルアリドオシ群落などが見られるが,全体としてはオオバクロモジ,マルバマンサクなどの日本海要素の種に特徴づけられている.冠峠から桧尾峠を経て金草岳にいたる尾根を境に,福井県側と岐阜県側では植生が大きく異なる.福井県側は,尾根には風衝低木林,そのすぐ下から白倉谷や添又谷にかけてブナ林が広がっている.風衝低木林には,ナナカマド,リョウブ,ツノハシバミ,マルバマンサク,ツクシシャクナゲなどが見られる.岐阜県側は,風衝草原がかなり下降し,ところどころに低木が見られる.この風衝草原にはチシマザサを主として,ヒトツバヨモギ,カライトソウ,ニッコウキスゲ,イブキゼリなど亜高山性の草本類が見られる.また,植林が進んでいて,尾根からスギ植林をしてあるところもあるが,十分な管理がされていないところでは,林床にチシマザサが多く見られる.
保護の現状
 と留意点
 標高500m 付近から冠峠と桧尾峠を結ぶ山稜部までの北側斜面一帯は,楢俣自然環境保全地域として県の指定を受け,保護されている.岐阜県側のスギ植林が尾根まで進んだところでは,福井県側のブナの高木に立ち枯れが目立つ.この現象が,どこまで進むのかが気がかりである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)