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名 称 |
大佛寺山のブナ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
永平寺町:大佛寺山(353,376) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
大仏寺山は,曹洞宗本山永平寺の背後にある歴史に彩られた標高807m の低山である.この山の中腹には,永平寺が現在の場所に移される前の大仏寺(永平寺の改名前の名)の跡がある.大仏寺山一帯は,スギの植林地が多いが,寺の東側の標高300m 付近の尾根部にブナ林が残存している.林内には胸高直径80cm 近くのアカガシも見られることから,この辺りがヤブツバキクラス域からブナクラス域への境界になっていることが推察できる.高木層のブナは生育状態も良く,大きなものでは胸高直径60cm に達する.また,林に隣接する墓地では胸高直径1m を超すブナも見られる.ブナが優占する林分は,頂上付近の尾根から少し下った緩斜面にも見られる.この林は,胸高直径40 〜50cm ,樹高18m 以上の高木からなり,ほぼ自然林に近い林相になっている.本林分では,林冠をブナが優占するが,ミズナラもかなり混生する.林間はマルバマンサク,オオバクロモジが,林床はトクワカソウが優占する.標高750m 付近には,面積2ha ほどのミズナラ林が見られる.林冠にイタヤカエデを混じえ,林間にマルバマンサク,オオバクロモジ,ハウチワカエデが多く見られ,林床にはハウチワカエデ,ハイイヌガヤ,ヒメアオキが多い.このミズナラ林も,林間に個体数は少ないがブナが見られることから,将来はブナ林に遷移していくものと思われる.なお,永平寺の寺叢林は主としてスギの巨樹からなり,寺社にふさわしい森閑とした環境を作り出している.最古のスギは五代スギと呼ばれ,樹齢650 年,幹周り7.9m ,樹高35m に達する. | ||
保護の現状 と留意点 |
大仏寺山は,永平寺の古寺の跡地として,由緒ある場所柄から,余り手が入らずに今日に至っている.今後も存続すると思われるが,自然保護の観点からも保護していくことが望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |