福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 冠山の植生
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林、亜高山高茎草原
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町:冠山(343,344)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  冠山(標高1257m )は,越美山地(標高1200 〜1300m の山嶺)の一峰で,今立郡池田町と岐阜県揖斐郡徳山村との境界に位置している.その山頂部は,標高約1100m の平坦面上に突出している.平坦面には,冠平(標高1170m )と呼ばれるところがあり,風衝草原や低木林が発達している.冠平は冠峠(標高1050m )の登山口から尾根沿いに約2km 登ったところにある.冠峠までは,近年道路が整備され自動車で行けるため冠山を訪れる福井,岐阜両県からの登山者が多い.登山道沿いのミズナラ林やブナ林は,風の影響を受けた樹形をしている.尾根から下を見ると福井県側はブナ林が広がっており,深い谷まで作業道が伸びて植林が進んでいる岐阜県側とは異なる.ブナ林は標高約600m から冠平付近まで見られる.このブナ林は,各階層の優占種からブナ−ウラジロヨウラク−トクワカソウ群落,ブナ−オオバクロモジ−ツルアリドオシ群落,ブナ−ウスギヨウラク−チシマザサ群落などに分けられる.冠平付近の植生は,福井県側(北西)と岐阜県側(南東)では大きく異なる.福井県側の斜面はブナやダケカンバなどの林であり,平らな部分から岐阜県側の斜面はチシマザサを主とした風衝草原である.斜面の向きや位置によって,チシマザサの高さが異なり,それにともなって,シモツケソウやヒトツバヨモギ,オクノカンスゲ,オオコメツツジなどに特徴づけられる群落に分けられる.冠平から頂上までは,イワカガミ,タテヤマリンドウ,カライトソウ,キンコウカなどの亜高山性の草本群落やブナ,ナナカマド,ヤハズハンノキ,アカミノイヌツゲ,ハイイヌツゲ,ホンシャクナゲなどの風衝低木林が見られる.
保護の現状
 と留意点
 冠山のブナ林や風衝草原,風衝低木林は,福井県でも特にすぐれた山岳植生の景観を呈し貴重である.今後も現状のまま保護されることが望まれる.また,登山道の中間あたりの左手にシロネやミズゴケを主とする湿原(標高1110m )があるが,これも併せて保護したい.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)