福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 宝慶寺の植生
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林、温帯針葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:宝慶寺(286,287)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  大野市宝慶寺地区は市街地の南約10km の位置にあり,曹洞宗の寺院である宝慶寺やキャンプ施設等がある.以前は35 戸の家があったが,昭和36 年の風水害以後は過疎化が進み,現在は廃村となっている.この一帯は,海抜約600m までスギ植林が進んでいるが,宝慶寺参道と寺の後背部の峠付近にはブナ林が残っている.参道(標高500m )のブナ林では,高木層を形成するブナは胸高直径約50cm ,樹高18m ほどで,植被率も高い.林間にはハウチワカエデ,コハウチワカエデ,オオバクロモジ等が生育し,草本層にはコアジサイ,オクモミジハグマ,オオバクロモジ等が多く生育している.峠(標高600m )のブナ林は,保安林として保護されてきたものである.林間にはブナ,マルバマンサク,ユキバタツバキ,ユキグニミツバツツジが多く生育している.特筆すべき点は,低木層にユキバタツバキが優占することである.組成的には,低海抜地のブナ林であるユキツバキ−ブナ群集のユキツバキがユキバタツバキに交代したものと考えられる.福井県ではユキツバキ−ブナ群集に属する林分は少ないため貴重である.尾根にはアカマツの自然林がある.高木層にアカマツの大木が優占しており,亜高木層にはアズキナシ,ミズナラ,ソヨゴなど,低木層にはエゾユズリハ,マルバマンサク,リョウブ,ヤマツツジ,ヤマウルシなどが多く,草本層にはトクワカソウ,ユキグニミツバツツジなどが生育している.
保護の現状
 と留意点
 参道のブナ林は宝慶寺の社叢林として,峠のブナ林,アカマツ林は保安林として保護されている.周辺はスギ植林が進んでいるが,これらの林にまで植林化が及ばないことが望まれる.また,アカマツ林についてはマツクイムシの被害が出ぬよう留意する必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)