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名 称 |
銀杏峰の植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林・亜高山草原 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
大野市:銀杏峰(264,288,289) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
越美山地の一峰である銀杏峰(1440.7m )は,大野市の南西部に位置している.隣接する部子山(1464.6m )とはチシマザサ草原が発達するなだらかな稜線で連なっている.山頂からの眺望は素晴らしく,眼下に大野盆地を,遠くに白山や加越山地の山並みを望むことができる.山頂部はなだらかだが,そこに至るまでの地形は急峻で,南斜面にはチシマザサ草原が広がっている.北斜面の中腹以下は,かつてあったミズナラ林がほとんど伐採されてスギが植林されている.南斜面の大雲谷側は,以前ブナの原生林が広がり,林床にはタイミンガサの群落も見られたが,ほとんどが伐採され,現在その姿は見られなくなった.南斜面の標高1000m 付近には,胸高直径30cm ほどの発達したブナの純林が見られる.林間にはマルバマンサク,オオカメノキ,ハウチワカエデ,オオバクロモジが多く見られ,その林床にはヒメアオキ,ヒメモチ,オクモミジハグマ,オクノカンスゲなどが優占している.銀杏峰東側の標高1290m から山頂にかけての稜線沿いには,キャラボクの群落やオオイタヤメイゲツの群落が点在する.キャラボクは高さ1.5 〜2m ,胸高直径30 〜40cm の巨木で,風衝と多雪により枝は水平に伸長して,樹冠直径8m 近くに及ぶものがある.キャラボク群落には,優占するキャラボクの他,オオイタヤメイゲツ,ミヤマアオダモ,ノリウツギなどの落葉低木が多少混生する.林床にはハイイヌツゲ,ヒメモチなどの常緑低木が多く生育するほか,ミヤマカンスゲ,ホソバトウゲシバ,シラネワラビなどが見られる.山頂の西側斜面には,狭いながらも亜高山草原が見られ,七月末にはシモツケソウ,ハクサンフウロ,タテヤマウツボグサ,イブキトラノオなどが美しい花を咲かせる.また山頂付近には,オオヤマレンゲ,ツゲ,ゴヨウイチゴなど県下での稀産植物が生育している. | ||
保護の現状 と留意点 |
銀杏峰の標高1000m 以上には見事な自然植生が残されている.現在,山頂付近に向けて林道が伸び,一部は1000m 近くの稜線にまで達しているが,これ以上,伐採やスギ植林が拡大されず現在の姿で後世に残されることが望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |