福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 六呂師高原の湿原
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 低層湿原
位   置
(2kmメッシュ番号)
勝山市:池ヶ原、大野市:南六呂師(159)
選定理由 学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  大野市と勝山市にまたがる六呂師高原には,池ケ原湿原と妻平湿原がある.これらは,池ノ河内湿原(別掲),赤兎山の湿原(別掲)などと並び本県の代表的な湿原であり,多くの湿生植物が見られるところである.池ケ原湿原は,福井県奥越高原牧場内にある面積約1.5ha の低層湿原で,相観的にはオオミズゴケ低層湿原,ヨシ群落,およびハンノキ群落に区分されるが,全体としてはヨシ群落に特徴づけられている.オオミズゴケ低層湿原では,上層にはヨシ,サワヒヨドリ,コマツカサススキなどが目立ち,下層にミズオトギリ,ヒメシダ,コバギボウシ,サワヒヨドリ,チゴザサ,モウセンゴケが生育し,コケ層にはオオミズゴケが繁茂している.特筆すべき種として,ミズチドリ,カキラン,トキソウなどのラン科植物をはじめ,ミカズキグサ,ミズギク,カキツバタ,モウセンゴケなどの稀産種も見られる.また,雑種と思われるニッコウキスゲに似たユリ科の草本も生育している.かつてはキスゲ,ミズトンボ,ミミカキグサ,ホザキノミミカキグサの生育も確認されていたが,周辺環境の変化にともない姿を消したものと思われる.今回の調査では36 科74 種の湿生植物の生育が確認された.妻平湿原は,六呂師スキー場の駐車場に隣接した面積0.2ha 足らずの小さな湿原である.近年,周囲にスキ−場,駐車場,ホテルなどが造成され,また,湿原内に木道が設置されるなど,人為による環境変化が著しい.本湿原の植生は,相観的には,ハンノキ群落,カサスゲ群落,マコモ群落,ミツガシワ群落などに区分される.中でもミツガシワは,県内有数の群生地である.前回の報告(昭和60 年)で記載されていたミミカキグサ,ホザキノミミカキグサは今回の調査では確認されなかった.
保護の現状
 と留意点
 両湿原とも奧越高原県立自然公園内にあり,開発や採集は規制されている.池ケ原湿原はヨシが繁茂し,他の湿原植物を圧倒している.この原因としては,周辺の牧草地拡大にともなう乾燥化や有機肥料分の流入,また,人々によって行われていたヨシ刈りがなくなったことなどが考えられる.また,妻平湿原では,水位の変動,ゴミや土砂の流入,ヨシの進入といった問題点を抱えている.両湿原とも,これ以上周辺の改変を行わないことや,ヨシ刈り等の保護対策が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)