福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 法恩寺山の植生
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
勝山市:法恩寺山(135,157)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  法恩寺山は加越山地と峰続きの標高1356.7mの山で,勝山市街地からは,なだらかな山容を持つこの山の全貌を望むことができる.経ケ岳(1625.2m )とは尾根続きであるが,岩質は異なり,ともに火山活動による山ではあるが,生成時期には差があるとされている.法恩寺山に見られる自然植生としては,伏拝周辺(標高1300m )や本峰南面のブナ林,くらがり谷のブナ−ミズナラ林,本峰北西面のダケカンバ−ブナ林,ガラリ谷のサワグルミ林やキタゴヨウ林などがある.伏拝周辺と本峰南面のブナ林は標高約1300mにあって,ブナ,オオカメノキ,オオバクロモジ,チシマザザ,ヤマソテツ,ホソバトウゲシバなどで構成される群落である.本峰北西面のダケカンバ−ブナ林は鞍部の風当たりの弱いところに位置するため,樹高15m ,胸高直径約50cm とよく生長したダケカンバが生育する.本林分は,林冠にダケカンバとブナが優占する混交林で,マルバマンサク,オオカメノキ,オオバクロモジ,ヤマソテツ,ホソバトウゲシバ等で構成されている.この鞍部から西面の尾根に登ると,ダケカンバは雪と強風の影響を受けて幹も枝も多様に曲がりくねり,地上を這うような形態をしている.この両地点のダケカンバの樹形は,生育環境の違いを顕著に物語っているといえる.法恩寺山から経ケ岳へ至る稜線の南西の急斜面下部には,ミズナラの巨木が見られる林があり,また,その上部の岩崖にはキタゴヨウ林がある.いずれの林も林間にはシャクナゲが群生している.ガラリ谷の奥には,サワグルミ林が分布する.低木層はハイイヌガヤ,草本層はジュウモンジシダが優占し,ジュウモンジシダ−サワグルミ群集の組成を示す県内でも数少ないサワグルミ林の一つである.
保護の現状
 と留意点
 法恩寺山は頂上付近までスギが植林されているなど,その植生には昔から人の手が加えられてきている.さらに最近ではスキ−場などの観光開発も進んでいる.その中で,頂上付近に自然林もしくはそれに近い森林が残されていることは貴重である.この開発が,これらの森林に影響を及ぼさないか気懸かりであるが,今後とも大切に保護されていくことが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)