福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 小原のリュウキンカ群落
学   名
分 類 1 植生
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
勝山市:北谷町小原峠登山口(113)
選定理由 学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  赤兔山と大長山の間にある小原峠への登山口は小原林道終点近くにある.ここから峠にかけての地形は,すり鉢状の滑らかな凹地になっていて,その底部の面積0.5ha ほどの湿地にリュウキンカの群落が見られる.リュウキンカは,本州と九州に分布するキンポウゲ科の植物で,尾瀬などでは大群落を形成し,ミズバショウとともに春の湿原を彩る代表的な種となっている.本県でも深山で稀に見られるが,本群落は面積,個体数ともに県下では最大規模のものと思われる.林道が開通する30 年ほど前は,湿地の周囲にはブナ林が広がり,峠道からも離れていたため,本群落の存在は知られていなかった.しかし,林道開通後,このブナ林が伐採されて周辺が開けたことにより,登山者の目に触れることとなった.本群落の上部にはオノエヤナギが繁るが,花期を迎える5 月頃には,まだ葉を展開しないため,湿地全体がリュウキンカの黄色い花で染まる見事な景観となる.亜高木層としてオノエヤナギ,ミヤマカワラハンノキが疎らに生え,低木層にはハイイヌツゲ,ノリウツギ,ミヤマイボタ,ナナカマドなどが見られる.草本層にはリュウキンカの他,ヨシ,オタカラコウ,エゾシロネ,ミヤマシラスゲなどの被度が高く,その他カキラン,アカモノ,オオバギボウシ,ヒメシダ,エゾリンドウ,オオヤマサギソウ,オオミズゴケ,オオヌマハリイなどが生育している.
保護の現状
 と留意点
 本湿地を維持するためには,周辺の集水域の植生を保全する必要がある.現在,周囲はスギ植林となっているが,特に上流部についてはこれ以上手を加えないことが望ましい.また,本湿地にはリュウキンカの他にもクモキリソウ,オオバタケシマラン,ヒロハユキザサ等,園芸価値のある植物も生育しているため,乱獲されないように留意する必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)