福井県みどりのデータバンク自然環境のあらまし
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福井県の自然環境のあらまし
−動物−

(昆虫)

福井県の昆虫相は、全体には位置的関係から日本列島の平均的なものといえますが、北方的色彩と中部山岳的色彩の強い奥越山地から暖地性要素がかなり加わった西部低山地域にまたがっているため、かなり変化し、複雑になっています。そのため、相当数の種の分布北限が福井県にあって学術上貴重な種も少なくありません。それは、動物地理学上にみる旧北区系基盤に東洋区系の要素が加わった日本列島昆虫相の縮図とも言えます。また、嶺南地方と嶺北地方との区分は昆虫相の相違にも明瞭に現れています。
 県下各地の昆虫相は、大都市周辺の山野に比べ、現在なお豊富さを保っています。しかし、その変貌は著しく、昭和10年頃には各地でみられた大型昆虫の中には、激減したものが少なくなく、その姿を全く見ることができなくなったものさえあります。

(鳥類)

福井県はシベリアなどの大陸圏に繁殖地をもつ数多くの冬鳥の主要な渡来経路に当たっていて、県内の林野はその休息地あるいは越冬地になっています。また、日本列島を往来する鳥類も中部山岳地帯を境として、日本海側を移動する多くの種類が知られ、特に森林性の鳥類は豊富に見ることができます。これらの渡り鳥は、県内で記録される全鳥類の3分の2を越えています。しかし、、四季を通じて生息する留鳥はさほど多くありません。

垂直分布を見ると、標高1,500メートル以上の山岳が少ないため、高山性鳥類はあまり見ることができません。
また、水辺の鳥では、シギ類やチドリ類が海浜、河川、湖沼などに採食地や休息地が少ないため、その種類、個体数ともに多くはありません。しかし、カモ類は日本海域、海岸に隣接する湖沼、河川流域などにかなりの種類および個体数を見ることができます。

ツグミヒシクイ
イヌワシ

特色ある鳥類としては、若狭地方の三方五湖を中心に希少なオオワシオジロワシなどの生息が毎年記録されているほか、イヌワシが、少数ですが山岳部に生息していて、貴重な存在となっています。また、これまでに南方系あるいは大陸系の迷鳥がかなり記録されていますが、これは、福井県が鳥類の分布上重要な位置にある証拠とも言えます。


(哺乳類)

哺乳類では、特徴的なものはありませんが、山岳部においては特別天然記念物のニホンカモシカ、天然記念物のヤマネをはじめ、ホンシュウジカツキノワグマサルなどかなりの哺乳類相を維持しています。

カモシカ ヤマネ

(その他)

淡水魚では、大野市本願清水の陸封イトヨ、九頭竜川中流域に生息するカマキリ(アラレガコ、国指定天然記念物)が知られています。また、武生市のトミヨは全国的にも分布が限られた貴重なものでしたが、武生市の治佐川の一部を除き見ることができなくなりました。しかし、イワナヤマメアマゴ(移入種)などの上流河川にすむ魚類は、各地に豊富に見ることができます。

両生類では、国指定の特別天然記念物のオオサンショウウオの生息が県下でも記録されています。またモリアオガエルは各地で見ることができます。さらに、平成10年に県北部で全国的にも分布が限られ絶滅のおそれがある種とされるアベサンショウウオの生息が確認されています。

爬虫類では、分布が限られているシロマダラ(小型のヘビ)が各地で発見されています。


本文出典 「ふるさと福井の自然−創刊号−」(1987年2月 福井県自然保護課)
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