表題 |
福井県大野市平家平の哺乳類相とその保全 |
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著者名 |
大迫義人・三原学 |
掲載巻 |
Ciconia Vol.10 |
発表年 |
2002 |
分類 |
哺乳類 |
要約 | 1997 〜1999 年度の3 月を除く2 月から11 月まで,福井県大野市の平家平において哺乳類相とその生息状況について調査を行なった.定線観察,定点捕獲および任意観察の計39 日の調査で,計7 目15 科22 種の哺乳類が記録された.そのほとんどは低山帯の森林を主な生息地とする哺乳類であった.また,環境省指定の「日本の絶滅のおそれのある野生生物」の絶滅危惧U類のテングコウモリ,準絶滅危惧類で,文化庁指定の天然記念物でもあるヤマネ,同じく特別天然記念物のニホンカモシカが,および福井県が本州の連続分布の西限種となるツキノワグマが記録された.これら以外に,ハクビシンが,調査地の近くで記録されたことより,本種も生息している可能性が高い.また,カワネズミ,ウサギコウモリ,ホンドモモンガ,ムササビ,ハツカネズミ,ホンドオコジョ,アナグマなども生息している可能性がある.さらに,奥越地方では,記録のなかった2 種と記録の少なかった10 種の生息が,中でも翼手類の3 種の生息が確認されたことは,当地の哺乳類相は種数が多いといえる.当地において,哺乳類相の多様性が高く,また,全国および福井県における希少な種が,計4 種も記録されたことより,当地の現在の環境を保全すること,希少種や未記録種の調査を継続すること,その施設を造ることが求められる. |