Ciconia (福井県自然保護センター研究報告) データベース

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表 題 福井市羽坂林道周辺の鳥類相とその経年変化
著者名 柳町邦光
掲載巻 Ciconia Vol.5
発表年 1996
分 類 鳥類
要 約  1984年から1995年まで,計276日をかけて,福井県福井市羽坂町の羽坂林道で鳥類相の調査を行なった.12年間で計13目29科92種の鳥類が記録され,そのうち環境庁指定の絶滅危惧種のオジロワシ,クマタカ,ヤイロチョウ,危急種のオオワシ,オオタカおよび希少種のミゾゴイ.ハチクマ,ハイタカが記録された.また,ミゾゴイ,アオシギ,ヤイロチョウ・キマユムシクイは福井県で観察例の少ない種であった.生息種,一時滞在種および偶然種と考えられる鳥類はごそれぞれ計9目21科57種,計1目4科12種および計8目14科22種であり,生息種のはとんどは林野性または原野性の鳥類であった.繁殖の確認された種は,トビ・キジバト,コゲラなどの計13種であった.記録種数の年変化は必ずしも鳥類相の経年変化を表してはいなかったが,年あたりの記録種数は,1992年で最も多く1984年と1985年で最も少なかった.また,記録種数の月変化も必ずしも季節変化を表してはいなかったが,月あたりの記録種数は,5月で最も多く2月で最も少なかった.伐採の行なわれた1987年,1988年以後,ヨタカが記録されなくなり,かつセンダイムシクイの出現率が低下し,逆にオオタカ,アカゲラ,ミソサザイ,ノゴマ,クロツグミ,アトリが記録されるようになった.これは,草原や低木杯の出現によって,そのような環境を好む鳥類が生息するようになったと考えられる.調査地への渡来が早かった夏鳥はサシバ,ヤブサメ,センダイムシクイ,コマドリ,オオルリで,逆に遅かった種はエゾセンニュウ,サンコウチョウ,キビタキ,コルリであった.これからは,ワシタカ類の生息状況も含め,広域的・継続的な調査が望まれる.

Copyright (C) 福井県自然保護センター
出典「Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)」(福井県自然保護センター発行)