Ciconia (福井県自然保護センター研究報告) データベース

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表 題 福井県越前町の山地における鳥類相とその経年変化
著者名 八田七郎右ヱ門・大迫義人
掲載巻 Ciconia Vol.5
発表年 1996
分 類 鳥類
要 約  1967年11月から1988年1月まで,福井県丹生郡越前町の山地において,鳥類相とその経年変化について調査した.夏期(5〜7月)と冬期(11〜翌年2月)の計89日の調査で,計9目23科68種の鳥類が記録された.これらのうち環境庁指定の「日本の絶滅のおそれのある野生生物」の絶滅危惧種のイヌワシ,危急種のオオタカ,希少種のハイタカが記録された.また,計3目10科12種の鳥類の繁殖が確認された.21年にわたり,記録種数の変化はほとんどなかったが,キジ,ヤマドリ,センダイムシクイ,ミソサザイは記録されなくなり,逆にメボソムシクイ,サンコウチョウ,ハシブトガラスはよく記録されるようになった.この要因のひとつとして伐採により観察されやすくなったことが考えられる.記録種の多様度指数と夏期の観察密度は微増した.これは,環境の改変によってそのモザイク性が高まったことと林道の延長により林縁選好種が増加したことに起因すると考えられる.鳥類相を調査する場合,環境の改変状況について定量的な記録も必要である.

Copyright (C) 福井県自然保護センター
出典「Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)」(福井県自然保護センター発行)