Ciconia (福井県自然保護センター研究報告) データベース

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表 題 福井市足羽川流域の鳥類相とその季節変化
著者名 柳町邦光・鈴川文夫
掲載巻 Ciconia Vol.4
発表年 1995
分 類 鳥類
要 約  1993年10月から1994年12月まで,福井市内を流れる足羽川を,河川敷の発達したT区域,川原の発達したU区域および流れの緩やかな水域が多いV区域に分けて,毎月,鳥類相の調査を行なった.全調査区城で計13目28科98種が記録され,そのうちコムクドリは,福井県での初繁殖の可能性があった.T,U,V区域で,それぞれ計13目28科84種,計11目23科66種,計10目23科56種が記録され,また,優占する環境に応じてそれぞれ河川敷性,水辺性,水面性の鳥類が多かった.全調査区域で,月当たり平均40.5±7.0(SD)種が記録され,秋期から翌年春期にかけては,記録種数が多いが,夏期には少なくなる傾向があった.水面性の鳥類,すなわち主にガンカモ科鳥類は,同様に冬期から翌年春期にその種数が多く,夏期には最も減少した.水辺性の鳥類,すなわち主にシギ・チドリ・ツバメチドリ科鳥類は,春期と秋期に多くなる傾向があった.河川敷性の鳥類,すなわち陸生鳥類は,周年,その種数が多く,かつ変動が少なかった.そして,上空性の鳥類,すなわち主にワシタカ・ハヤブサ科鳥類は,周年,その種数が少なかった.異なる環境および季節によって,出現・生息する鳥類の種数や種構成が異なり,また,多様性の高い環境ほど多様な鳥類が観察された.変化に富んだ豊かな河川環境を保全することが,そこに生息する鳥類を保護していく上で重要であると考えられる.

Copyright (C) 福井県自然保護センター
出典「Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)」(福井県自然保護センター発行)