表 題 | 駆除または避妊化によるニホンザルの個体数調節の試算 |
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著者名 | 大迫義人・多田雅充 |
掲載巻 | Ciconia Vol.1 |
発表年 | 1992 |
分 類 | 哺乳類 |
要 約 | 絶滅させることなくかつ獲害を減らすために,駆除または避妊化によるニホンザルの個体数詞節の試算を行なってみた.被害を起こす群れは,人為的に給餌されている状態に近いため,試算には嵐山個体群の性別年齢構成比率,性別年齢別生存率,メスの年齢別出産率の資料を用いた.個体数の増加率は平均0.109+0.005(s.d.)/年となり,嵐山個体群の増加率の範囲内であった.100頭の群れ当り毎年13頭以上18頭以下(初期の駆除率13%以上18%以下)駆除すると10年後の群れは小さくなり絶滅はしなかった.100頭の群れ当り毎年12頭以上(初期の避妊化率12%以上)のメスを避妊化すると10年後の群れは小さくなったが,初年にいるすべてのメスを一度に避妊化しても絶滅は起こらなかった.全体的に,駆除に比べ避妊化は処置の効果が穏やかで効率がよかった.さらに,避妊薬や避妊器具をニホンザル用に開発できれば,避妊化による個体数調節の方がより望ましい.ただし,必要条件として各地域でのニホンザルの個体群動態と駆除または避妊化の効果は常にモニターされているべきである. |