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大型野生動物生息動態調査報告書
ツキノワグマ

  

福井県自然保護センター

1997


はじめに

福井県には,海洋,河川,平野,丘陵および亜高山までの山地など多様な自然環境が存在し,多種の野生動物が生息している.なかでもツキノワグマをはじめとするカモシカ,ニホンジカ,イノシシなどの大型哺乳類は多い.生態ビラミッドの頂点に立つ,これらの動物が豊富であることは,本県の自然環境の健全さを物語っている.

しかし,一方では,開発による生息地の減少・悪化,農林業との軋轢(あつれき)が原因になる駆除など,大型哺乳類の生息にとって脅威となる問題も残されている.

最近,日本でも,保全生物学が脚光を浴びてきている.これは,「生物多様性の保全」という学際的目標をもち,その実現のための指針と技術の確立をめざす科学である.これからの鳥獣保護行政も,保全生物学などの科学的知見をベースにした問題の解決が要求されるであろう.

福井県において,ツキノワグマは自然保護上重要な位置をしめるにもかかわらず,その実態は不明のままであった.しかし,今回の調査で明らかになった本種の生息環境・分布,生息個体数などの知見は,彼らの保護・管理計画のための指針となるであろう.これを機に,本県における野生動物の保全が一歩でも前進することを願ってやまない.

この調査においては,京都大学農学部の高柳敦氏,福井県猟友会,福井営林署,各市町村,鳥獣保護員,地元関係者,傷病鳥獣救護獣医師,獣害総合研究所,京都大学野生生物研究会,福井県自然環境保全調査研究会鳥獣部会および県の関係機関にお世話になった.この場をかりてお礼を申し上げる.

福井県自然保護センター所長 広瀬紀佐雄


 

目次


T.目的

ツキノワグマUrsus thibetanusは,その生息密度,繁殖率が低いことから,生息環境の減少・悪化や狩猟,有害駆除などの捕獲による生息個体数への影響を受けやすく,四国と九州の全域および本州の一部の地域では絶滅もしくは絶滅の危機に直面している(環境庁自然保護局野生生物課1991).また,集落周辺で人的および農林作物への被害をおよぼすなど,直接,人間生活にも関わっている・そのため,いくつかの県では,本種の生息状況について調査が行なわれてきた(青森県自然保護課1982,秋田県林務部1983,秋田県生活環境郎自然保護課1986,新潟県野生動物生態研究会1987,青森県環境保健部自然保護課1990,富山県農地林務部自然保護課1990,岩手県環境保健部自然保護課1991,山形県環境保健部自然保護課1992,島根県景観自然課1993,山形県文化環境部環境保護課1997).しかし,福井県では,生息状況の悪化が示唆される近畿北部地域個体群を含んでいるにもかかわらず(久米1994),本種の生態学的調査は行なわれてこなかった.

 野生動物の適正な保護・管理を行なうためには,地域個体群の生息分布,生息環境,行動圏や個体群動態などの基礎資料が必要である(Bailey1984).この調査・分析は,本県における本種の生息状況を明らかにし,今後の管理手法を確立するために行なわれた.

U.調査地

福井県は,4,187.59km2の面積があり,敦賀市の木の芽峠を境に北の嶺北地方(河野村−今庄町以北)と南の嶺南地方(敦賀市以南)に大きく分けられる.嶺北地方には,西部に標高500m前後の丹生山地が,東部に標高1,000〜1,500mの両白山地が広がり,それらの間に平野,盆地が多く,一方,嶺南地方には,南部に丹波高原が広がり,平地の少ない地形をしている(図1). 文献・資料調査,アンケート・聞き取り調査およびフィールドサイン調査は,全県を対象に行ない,また,ラジオテレメトリー調査は,領北地方の大野市,勝山市と嶺南地方の三方郡美浜町,遠敷郡名田庄村で行なった. 生息環境と分布の分析は,本県全域を南北に幅1'00"(1.85km),東西に幅1'30"(2.25km)の大きさ(面積約4.16km2)の,計1,179個のメッシュ(以下2kmメッシュと呼ぶ)に分けて行なった.この単位の平均標高は,最低で0m,最高で1,658mであり,なかでも0〜50m,つまり平野部が最も多かった(建設省国土地理院1994).また,最も優占する植生は,スギ・ヒノキ・サワラCryptomeria japonica・Chamaecyparis obtusa・Chamaecyparis pisifera植林 (本県では,ほとんどがスギであるため以下スギ植林という)で,次いでブナーミズナラFagus crenata・Quercus mongolica var. grosseserrat 群落,アカマツPinus densiflora群落,水田,コナラQuercus serrata群落,クリーミズナラCastanea crenataQuercusmongolica var. grosseserrata群落などであった.これらのはとんどは標高700m未満に分布していたが,ブナーミズナラ群落はそれ以上で優占していた(図2,福井県自然環境保全調査研究会植生部会未発表).

V.調査・分析方法

A.文献・資料調査

捕獲個体数について,狩猟統計または鳥獣関係統計の1946年度から1992年度までの資料を用いた(農林省林野庁1948,1949,1951a,1951b,1953,1954,1955,1956,1959,1960,林野庁1961,1962a,1962b,1963,1964,1965,1966,1967,1968,1969,1970,1971,環境庁1972,1973,1974,1975,1976,1977,1978,1979,1980,1981,1982a,1983,1984,1985,1986,1987,1988a,1989,1990,1991,環境庁自然保護局1992,1993,1994).狩猟と有害駆除(以下駆除と略す)による捕獲個体数について,全国と福井県について比較し,また,狩猟個体数および駆除個体数の全国(福井県を除く)に対する本県の割合を比較してみた.

B.アンケート・聞き取り調査

1990年度から1996年度に記録された本種の狩猟・駆除による捕獲と目撃,人身事故,交通事故,痕跡などの出現の情報について,主に,狩猟期間終了後の1994年2月17日〜3月24日と狩槻期間の1996年11月15日〜1997年2月15日にアンケートと聞き取りによって行ない,また随時,新聞記事の情報も収集した.捕獲状況については,福井県猟友会ヘアンケート(付表1)を送り,回答してもらった.また,出現状況については,福井県下35市町村の鳥獣保護担当者をはじめ猟師,林業関係者などの動物に詳しい地元住民の計55人に聞き取り調査を行なった.聞き取りの項目は,山形県環境保健部自然保護課(1992)の用いた内容に若干の変更を加えて用いた(付表2).得られた情報のうち,捕獲・出現地,捕獲・出現時期および生息環境,分布について整理し分析した.

C.フィールドサイン調査

調査は,1993〜1996年の4〜12月に,計556個の2kmメッシュで行ない,本種の糞,足跡,爪跡,円座などの発見された場所を記録した.この結果から生息環境,分布について整理し分析した.

D.ラジオテレメトリー調査

発信器を装着するための捕獲を,福井県大野市上打波の嵐谷(36゜00'30" N,136゜38'30" E)で1994年5月18日〜6月20日,同下打波(35゜58'30" N,136゜37'30" E)で1994年11月13日〜15日,同南六呂師の経ケ岳国有林1,003林班(36゜01'40" N,136゜37' E)で1994年7月22日〜12月14日と1995年6月7日〜11月30日,遠敷郡名田庄村虫谷(35゜21'50" N,135゜43'30"E)で1994年5月12日〜10月15日,勝山市平泉寺町の女神川上流(36゜02'30" N,136゜35'E)で1995年8月18日〜12月1日に,同町水口(36゜02' N,136゜35' E)で1995年6月6日〜12月1日に,および三方郡美浜町新庄(35゜33' N,135゜58' E)と松屋(35゜32’N,136゜01’E)で1995年5月29日〜12月8日に試みた.ミツバチの巣または蜂蜜を餌にして,田中式熊捕獲檻器を各地点1基を設置し,3,4日毎に餌を補充し見回りを行なった.1994年と1995年の2年間で,成獣オス3頭,成獣メス2頭および亜成獣オス2頭の計7頭が捕獲された(表1).

表1.ラジオテレメトリー調査個体の捕獲の推定年月日,場所および環境.
個体番号1) 推定捕獲年月日 捕獲場所 標高(m) 植生 備考
M9406021994年 6月 1日遠敷郡名田庄村虫谷280スギ植林単独
M9406201994年 6月19日大野市上打波嵐谷940スギ植林単独
M9408191994年 8月17日大野市南六呂師経ケ岳
国有林1,003林斑
1,010ブナー
ミズナラ群落
単独
M9411151994年11月15日大野市下打波310集落単独
M9508181995年 8月 1日勝山市平泉寺町水口370スギ植林単独
F9405291994年 5月27日大野市上打波嵐谷780クリ−
ミズナラ群落
2頭の子連れ
F950915l995年 9月13日三方郡美浜町松屋680チシマザサ−
ブナ群団
単独

1)放野年月日で表してある.M:オス,F:メス.

捕獲個体は,ケタラールとセラクタール(共に三共株式会社)の4:1の混合液により麻酔を行ない,性別を調べ,体重,頭胴長,肩高,前足長と後足長を計測し,放野年月日で番号を付けた.同時に,周波数140MHz帯のUSA製,ATS社のdeer"D"の発信器を装着した.M940602(以下M602と略す)とM941115(以下M1115と略す)を除き,捕獲地点で放野し,八重洲無線株式会社のFT-290mkUに3素子八木アンテナGY23Pを組み合わせた受信器で,1994年5月29日〜12月31日と1995年3月23日〜12月8日に,1〜4日毎の位置を1/25,000の地図に特定した.ここでは,測定された位置を活動点と呼ぶ.また,ラジオテレメトリー法では,最低2人以上の調査者によって定位すべきであるが,調査員を確保できなかったため60分以内に1人で行なった.その際,発信源に極力接近し,かつ3地点以上で定位するように努めた.

得られた結果から,移動距離,活動点の分布,行動範囲および生息環境,分布について分析した.行動範囲の面積が飽和した場合,行動圏を持っていると考え,活動点の集中性について森下のTσ指数で検定し(Morisita1959),第2回および第3回自然環境保全基礎調査で得られた植生図(環境庁1982b,1988b)を用いて植生毎の面積を算出し,利用環境についても分析した.

クマ類は,餌の種類・量の季節的変化によってその行動範囲が変動することが考えられるので(Amstrup&Beecham 1976,Reynold&Beecham 1980),ここでは前年の落下果実を主に採食している越冬あけから4月まで,植物の新葉を主に採食している5月から7月まで,果実類を主に採食している8月から10月までと再び落下果実を主に採食している11月から冬ごもりに入る12月までを(水野・野崎1985),それぞれ春期,夏期,前秋期,後秋期とした.

W.結果と考察

A.捕獲と出現

1.捕獲個体の大きさ,成幼比と性比

アンケート・聞き取り調査における狩猟または有害駆除によって捕獲された個体に関する情報の中で,体重の判明しているのは計47頭で,15〜131kgの範囲で平均57.4±27.1(SD)kgであった(図3).また,成幼および他の明らかな個体は計52頭で,成獣が35頭,このうちメスが11頭であった.つまり,成獣と幼獣の割合はそれぞれ67.3%と32.7%,成獣メスの割合は21.2%となり,これらを本県における捕獲個体数の成幼比および成獣メスの割合と考える.

ラジオテレメトリー調査において,1994年と1995年に計7頭が捕獲され,体重は24〜115kgの範囲で平均56.4±29.0(SD)kg,頭胴長は90〜146cmの範囲で平均116.9±18.8(SD)cmであった(表2).

表2.ラジオテレメトリー調査個体の性と計測値.
個体番号 計測月日 体重(kg) 頭胴長(cm) 肩高(cm) 前足長(cm) 後足長(cm)
M9406021994年 6月 2日54.0114.0 51.015.016.5
M9406201994年 6月20日64.5129.0 55.014.016.5
M9408191994年 8月19日24.0 90.0 43.011.514.0
M9411151994年11月15日115.0146.065.015.516.5
M9508181995年 8月18日36.0101.0 58.012.715.7
F9405291994年 5月29日54.5127.0 61.014.016.0
F9509151995年 9月15日47.0111.0 52.012.614.6

最も広範囲かつ重点的に捕獲と追跡の行なわれた調査地は,嶺北地方の大野市と嶺南地方の遠敷群名田庄村であった.大野市のF940529(以下F529と略す)の行動圏内およびその周辺では,観察の情報も含め,成獣オス2頭,成獣メス1頭,幼獣を含む亜成獣3頭の生息が確認された(大迫 1995b).また,名田庄村のM602の行動圏内およびその周辺では,狩揃の情報も含め,成獣オス1頭,成獣メス1頭,幼獣2頭の生息が確認された(大迫1996a).両方の調査地で,成獣オス3頭,成獣メス2頭,幼獣を含む亜成獣5頭が生息していた.つまり,成獣の割合は50%,このうちメスの割合は40%(全個体数の20%)となり,これらを本県における生息個体群の成幼比および成獣の性比と考える.

2.捕獲個体数の経年変化

1946年度から1992年度までの年あたりのツキノワグマの福井県の捕獲個体数は,平均113±52(SD)頭で全国の1,607±697頭の平均7.3±2.5(SD)%を占めた.そのうち狩猟個体数は,平均73±35(SD)頭で全国の778±254(SD)頭の平均9.1±3.5(SD)%を占め,また,駆除個体数は,平均40±30(SD)頭で全国の829±489(SD)頭の平均6.0±4.4(SD)%を占めた.全国で本種の生息する主な都道府県は計31県におよび(哺乳類分布調査科研グループ1979),そのうちのひとであるつ本県で一割近い個体数が捕獲されていることは,他県に比べ捕獲圧が,特に狩猟圧が高いといえる.

捕獲個体数は,全国,本県とも1946年度から徐々に増加し始めた(図4).この増加は,猟銃や捕獲器の改良による捕獲効率の向上によるとも考えられるが,単に狩猟統計の情報収集が徹底された結果かもしれない.そして,1960年台前半に一時的な減少がみられたが,1968年度噴から再び増加した(図4).1946年度から1967年度までは,全国で平均973±353(SD)頭,本県で平均80±36(SD)頭であったのに対し,1968年度から1992年度までは,全国で平均2,164±375(SD)頭,本県で平均142±46(SD)となり,全国,本県とも有意に増加していた(t−検定,全国:t=107.5,P<0.001,福井県:t=8.0,P<0.001,ともに自由度94,両側検定).ただし,本県では,1978年度以後,再び減少する傾向があった(図4).

捕獲個体数の全国に対する本県の割合は,1978年度以後,減少してきたが,これは駆除個体数の減少に起因していた(図5).この減少は,本県で,この頃から春期の駆除の許可個体数が減らされたこと,駆除隊のクマ猟熟練者の減少と銃猟からわな猟への切り替えにより捕獲効率が低下したこと,および以前は駆除個体数に重複があり過大に報告されていたことなどが原因として考えられる(久保藤士継,長谷川確栄 私信).

 全国に対する狩猟個体数の割合に減少の傾向はみられないが,本県は,もともとその割合が他県より高いことと,ここ10年間,狩猟個体数が減少傾向にあることは,本種の生息密度が低下している可能性がある(大迫 1996b参照).

3.捕獲・出現地

1990〜1996年度の情報が計285件収集され,そのうち捕獲が79件(27.7%),目撃が150件(52.6%),人身事故が13件(4.6%),交通事故が6件(2.1%)および痕跡が37件(13.0%)であった.

嶺北地方の北部の坂井郡丸岡町,東部の勝山市,大野市と中部の足羽郡美山町および嶺南地方のはぼ全市町村での情報が多かった(図6).中でも,山林面積や人口を考慮しても足羽郡美山町での件数が多かった.この町は,本種による植林木への被害が多く住民の関心が高かったために多くの情報が収集されたと考えられる(美山町役場 私信).また,坂井郡三国町,芦原町,春江町,坂井町南条郡今庄町,丹生郡宮崎村,越廼村,清水町での捕獲・出現情報は無かった.情報滴れと考えられる南条郡今庄町を除くと,これらの市町村は本種の生息環境ではないと考えられる.

これらの情報は,本種の生息分布の一部しか表しておらず,情報の少なかった,石川県岐阜県との境界にある両白山地にも本種は生息していると考えられる.また,南条郡南条町今庄町での捕獲・出現情報が少なく,福井県においては,ほぼ白山・奥美濃ユニットと近畿北部ユニットに分断されている傾向が示唆される(久米 1994).得られた情報のうち,探索するという人間の意図が入らない出現情報が72.3%を占めたことは,人間が活動する場所にも本種が接近していることがうかがえる(大迫1995a参照).

4.捕獲・出現時期

1990〜1996年度の捕獲時期について,計78件の情報があった.3月を除いて本種の捕獲が行なわれていたが,11月15日から翌2月15日までは狩猟により,それ以外の時期は有害獣駆除による捕獲である.最も捕獲件数が多かったのは,1月で20件(25.6%)であった(図7-a).これは,本種が冬ごもりしているため狩猟されやすかったためと考えられる.

また,出現時期について,計159件の情報があった.出現は,9〜11月の秋期に多く,計82件(51.6%)あった(図7-b).これは冬ごもりにそなえて本種の摂食行動が活発になるためと考えられる(宮尾1989).また,6〜7月にも出現することが多く,計36件(22.6%)あった.これは,クマはぎ発生の一要因と考えられているスギの樹液中のα−ピネンの分泌量が多くなっている時期であり(吉村・福井1982),目撃や被害が多かったためであろう(大迫1995a参照).

B.追跡と移動

ラジオテレメトリー調査のために捕獲された7頭のうち,M602は,放野後16日経った1994年6月18日に,M940620(以下M620と略す)は,放野後15日経った1994年7月5日に,最初の捕獲地からそれぞれ4,000m,1,550m離れた粧で再捕獲された.捕獲の経験があっても檻を忌避するものではなかった.

活動点は,1994年のM940819(以下M819と略す)と1995年のM620を除き1個体当たり最高115点,最低7点の年あたり平均53±42(SD)点(n=8)が記録された.1994年に捕獲されたM819の発信器は,装着後1日で放野場所で回収され,1995年3月になっても移動のなかったF529の発信器は,同年4月1日に同所の大野市南六呂師の山中で回収された.1994年9月3日を最後に受信されていなかったM620は,1995年4月1日と6月27日に大野市場呑で弱いながら受信され生存していることが確認されたが,10月20日に大野市上打波嵐谷の山中でその発信器が回収された.1994年12月2日を最後に受信不能となっていたM1115は,1995年3月29日に大野市湯谷で再受信・追跡されたが,8月15日以後移動がほとんどなく,発信器が脱落したものと考えられる.1994年に遠敷郡名田庄村で行動圏を持っていたM602は,1995年11月8日以後,半径約20kmの範囲では更信されなくなったが,1996年7月1日に行動圏内で捕獲された.1995年に捕獲されたM950818(以下M818と略す)は,11月12日までは定位されたが,それ以後受信されなかった.また,F950915(以下F915と略す)は,12月2日まで追跡され,最終定位の時期と位置から冬ごもりに入ったものと考えられる.

 順調に定位されたのはM602で,1994年の夏期で46点,前秋期で39点および後秋期で30点の計115点,1995年の春期で15点,夏期で34点,前秋期で31点および後秋期で2点の計82点の位置が測定された.一方,M818は,受信されるまで捕獲地点の半径約4kmの範囲を探索したが,調査回数20回のうち7点(35.0%)しか定位されなかった.これは,地形の影響で一時的に受信不能になった場合もあるが,亜成獣であったため広範囲を移動していたためとも考えられる.

連日追跡された場合の1夜当たりの移動距離は,成獣オス3頭の平均が1,256±506(SD)m,成獣メス2頭の平均が1,620±924(SD)mでオスの方が小さかったが,オスーメス間に有意差は無かった(表3).また,子連れメス(F529)の平均が967±671(SD)m(n=48),単独メス(F915)の平均が2,274±1,369(SD)m(n=15)であり,有意に差があった(Cochran-Cox検定,t=3.57,P<0.05,両側検定).これは,F529が幼獣をつれていたために,大きな移動ができなかったものと考えられる.

表3.ラジオテレメトリー調査個体の放野場所,追跡期間,移動距離と行動面積.
個体番号 放野場所 追跡期間 平均日移動距離
(測定点数)
mean±sd m
行動取囲
(測定点数)
ha
M940602 遠敷郡名田庄村虫谷
(捕獲地の1.100m南)
1994年6月2日〜12月31日 1,972土1,436(n=39) 3,332(n=115)
(飽和)
M940602 遠敷郡名田庄村虫谷
(捕獲地の1.100m南)
1995年3月23日〜11月5日 ────── 2,343(n=82)
(ほぼ飽和)
M940620 大町市上打波嵐谷 1994年6月20日〜9月3日 901土640(n=20) 1,457(n=46)
(未飽和)
M940620 大町市上打波嵐谷 1995年4月 l日〜6月27日 ──────
M940819 大野市南六呂師
経ケ岳国有林1.003林班
1994年8月19日 ──────  
M941115 大野市上打波嵐谷
(捕獲地の5,000m北北東)
1994年11月16日〜12月3日 894土574(n=12) 429(n=16)
(未飽和)
M941115 大野市上打波嵐谷
(捕獲地の5,000m北北東)
1995年3月29日〜8月15日 ────── 154(n=19)
(未飽和)
M950818 勝山市平泉寺町水口 1995年8月18日〜11月12日 ────── 878(n=7)
(未飽和)
F940529 大町市上打波嵐谷 1994年5月29日〜12月20日 967土671(n=48) 1,964(n=103)
(飽和)
F950915 三方郡美浜町松屋 1995年9月15日〜12月2日 2,274土1,369(n=15) 1,551(n=35)
(未飽和)

また,M602の1夜当たりの移動距離は,夏期で2,029±1,447(SD)m(n=35),後秋期で1,469+1,416(SD)m(n=4)で,F529のそれは,夏期で1,120±702(SD)m(n=31),前秋期で752±519(SD)m (n=15),後秋期で213±124(SD)m(n=2)であった.オス,メスともに夏期に移動距離が大きい傾向があった.この時期は本種の交尾期であり(鳥居はか1985),配偶者の探索のために大きくなることが考えられる

C.行動範囲と行動圏

1.行動範囲とその空間配置

1994年の調査個体4頭のうち1994年12月31日までに,行動範囲が飽和したのはF529とM602の場合だけで,その活動点数はそれぞれ68点(日),77点(日)であった(図8).この2個体は行動圏を持っていると考えられ,その面積はそれぞれ1,964ha,3,332haであった.M620もMll15も途中で追跡不能となり,そのために調査坪数が少なく行動範囲が飽和するに至らなかった.

1995年の調査個体4頭の行動範囲は,、いずれも1995年12月8日までには飽和せず,154〜2,343haの面積であった(図8).それらのうち,M1115とM818は,、十分に追跡できなかったために小さい行動範囲しか特定できなかった.また,M602の行動範囲は,1994年の行動圏よりも小さかったものの,82点(日)の定位測定がなされたことからはぼ飽和していたと考えられる.

秋田県の例では,行動圏の面積が成獣オスで2,595.6ha,成獣メスで1,230.1haであった(秋田県生活環境部自然保護課1986).オスの行動圏の方が大きかったことは今回の結果と同様であったが,オス,メスともに福井県での行動圏の方が大きかった.これは,本種の生息密度または餌の分布密度の違いによるとも考えられる.

成獣のオスとメス間,たとえばM620またはM1115とF529の行動範囲と,オスどうし,たとえばM620とM1115の行動範囲とも大きく重なっていた(図9 略).栃木県や秋田県では,ある範囲に複数の成獣オスが生息していることが,テレメトリ一法による調査で確認されており(羽澄ほか1985,米田1990),また,本種に近縁であるアメリカクロクマUrsus americanusの行動圏も同性および異性問で大きく重なっていた(Amstrup&echam1976,Lindzey&Meslow1977,Reynold&Beecham1980).一方,1994年10月2日に,F529とM620の行動範囲の北方にあたる大野市南六呂師の六呂師高原スキー場で,無標識の成獣2頭と幼獣2頭が同時に観察されており(福井新聞1994年10月3日付け記事),隣接して他の複数の個体が生息していたことがわかっている.また,1995年1月5日,M602の行動圏に隣接して無標識の成獣メスとその子グマ2頭の計3頭が捕獲された(大上元也氏私信).これらのことより,福井県における本種の行動圏は,特定の個体とは共有しているものの,ある個体問(特にメス問)では排他的に分散していると予想される(大迫1995b,1996a参照).

2.行動範囲の季節変化

M602の各時期の行動範囲は,春期において最も小さかったが,これは活動点数が他の季節に比べ少なかったためであると考えられる.また,夏期と前秋期では,行動範囲の位置と面積にほとんど違いがなかった.本個体の周年の行動範囲は,1994年に比べ,1995年のほうが,その面積が小さく南へかたよっていた(図10 略).1995年に調査された行動範囲が行動圏であったと考えると,北への移動がなかった原因は不明である.

F529は,夏期には行動圏内を広く利用していたが,秋期,特に後秋期になると南六呂師の近辺に留まる傾向があった(図12参照 略).これは冬ごもりにそなえて,集落のカキやクリを採食するためと考えられる(大迫1996a 参照).

3.行動圏の植生とその利用

M602の行動圏で最も優占している植生は,1994年,1995年ともコナラ群落などの広葉樹林であり,次いでスギ植林,アカマツ群落またはクリーミズナラ群落が続いた.そのうち,スギ植林は小面積で多数分散していた(図11 略).一方,F529の行動圏で最も面積の優占している植生は低山帯のスギ植林であり,しかも,それぞれの植林地は大面積であった.また,標高800m以上ではブナーミズナラ群落が優占していた(図12 略).

行動圏の存在したM602の1994年と1995年の活動点は,1km四方の区画におけるTσ指数がそれぞれ3.35と1.35であったことより,ともに有意に集中分布していた(F検定,1994年:F=6.21,P<0.001;1995年:F=1.83,P<0.01).一方,F529の1994年の活動点のTσ指数は2.74であったことより,有意に集中分布していた(F検定,F=6.31,P<0.001).本種は行動圏内を一様に使わず,谷部を集中して利用しており,ある期間定着するコア・エリアが存在していることが示唆された(羽澄ほか1981,野崎・水野1983,Hazumi&Maruyama1986).アメリカクロクマの生息環境の利用は,バッチ状に分布する餌こよって影響されていると考えられるが(Amstrup&Beecham1976,Reynold&Beecham1980),本種のコア・エリアでの餌植物の分布調査を行ない確認する必要がある.

M602の最も利用している植生は,1994年はスギ植林で,1995年はコナラ群落であった(図13).面積比から推定される利用植生の頻度分布とは違い,有意に,1994年はスギ植林を選択し(χ2検定,χ2=13.84,P<0.001,片側検定),コナラ群落を避け(χ2検定,χ2=5.17,0.01<P<0.05,片側検定),1995年はクリーミズナラ群落を避けていた(χ2検定,χ2=11.95,P<0.001,片側検定).春期から前秋期まではぼ均等に定位され,スギ植林を好むクマはぎの発生時期である6月,7月(吉村1984)に偏ってもいなかったので,これは周年の傾向と考えられる.一方,F529の最も利用している植生はスギ植林で,また,面積比と比較すると有意にブナーミズナラ群落を避けていた(χ2検定,χ2 =5.98,0.01<P<0.05,片側検定;図13).本来 ツキノワグマは,ブナーミズナラ群落などの落葉広葉樹林帯を主な生息地としているので(Hazumi&Maruyama1987,阿部1994),スギ植林を選好するのは福井県の個体群の特徴であるかもしれない(大迫1995b).

F529よりもM602の行動圏で,より多くのスギヘの皮はぎ(通称クマはぎ)が観察された(未発表).F529の行動圏内には,少なくとも成獣3個体,亜成獣1個体,幼獣2個体の計6個体が生息していたが(久保藤士継氏 私信),M602の行動圏内には,狩猟で捕獲された個体も含め成獣2個体,幼獣2個体の計4個体しか生息していなかったと考えられる.そうであると,クマはぎの発生と本種の生息密度との関係は弱かった(吉村・福井1982).さらに,被害を受けるスギの植栽面積との関係もなかった.地域によるこの被害程度の違いは,被害を及ぼす個体の問題なのかもしれないが,各スギ林の面積とその分散様式との関係も考えられる.つまり,M602の行動圏に多数分散している小面積のスギ林がクマはぎを誘発しやすかったかもしれない.この観点からの広範囲の調査・分析が必要である(大迫1995b,1996a参照).

D.生息環境と分布

ラジオテレメトリーによって計37メッシュ,アンケート・聞き取りによって計169メッシュおよびフィールドサインによって計134メッシュでのツキノワグマの生息情報が得られた.これらによって,福井県の計1,179メッシュのうち249メッシュ(21.1%)で生息が確認された(大迫・多田1997 参照).

1.標高

本種の生息情報の得られたメッシュの標高は,0〜1,300mの範囲つまり海岸部から亜高山帯で得られ,なかでも0〜700mの範囲で多かった(図14).標高0〜50mでの生息情報の得られたメッシュの数は,県全体の割合から得られる期待値よりも有意に少なかったものの(χ2検定,χ2=17.66,P<0.005,片側検定),19カ所(生息情報全体の7.6%)もあった.これらは,すべて近くに山地が存在しており,これにそって,本種が平野部に出現したと考えられる.また,標高150〜200m(χ2検定,χ2=4.61,0.01<P<0.05,片側検定),200〜250m(χ2検定,χ2=6.50 0.01<P<0.05,片側検定),および250〜300m(χ2検定,χ2=5.66,0.01<P<0.05,片側検定)では,それぞれ,生息情報の得られたメッシュの数が期待値よりも有意に多かった.これらの範囲は,情報源となる人間の集落が多いために過大評価されている可能性もあるが,同時に狩猟や有害駆除により生息密度が低く押さえられていることを考慮すると,本種の主要な生息地と考えられる.そして,標高1,000m以上では,6メッシュ(生息情報全体の2.4%)でしか生息情報が得られなかった.亜高山帯も本種の主要な生息地であることより(Hazumi&Maruyama1987),これは,本種の生息密度が低いのではなく,人間の接近が少なく記録されなかったと考えられる.

2.植生

生息情報の得られたメッシュの優占埴生は,多い順にスギ植林,コナラ群落,アカマツ群落,水田,クリーミズナラ群落,ブナーミズナラ群落,市街地,シイーカシCastanopsis,Quercus萌芽林,チシマザサーブナSaseto kurilensae ・ Fagus crenatae群団,自然低木杯,造成地,ゴルフ場,ケヤキZelkova serrata群落,自然裸地,スギーブナ群落,ササ草原,牧草地,落葉果樹園の計18種類であった.しかし,本種は森林性の哺乳類であるので,それらのうち水田,市街地,自然低木林 造成地,ゴルフ場,自然裸地,ササ草原,牧草地および落葉果樹園は,周囲にそれらを多く含む森林のあるメッシュと読み替える必要がある(日本野生生物研究センター1989).

また,標高700m未満でも,スギ植林で最も生息情報が多く,次いでコナラ群落,アカマツ群落,水田,クリーミズナラ群落などが続いた(図15).これらのうち,全体の割合から得られる期待値よりも有意に,生息情報はスギ植林で多く(χ2検定,χ2=12.40,P<0.005,片側検定),水田で少なかった(χ2検定,χ2=6.81,0.005<P<0.01,片側検定).本種の生息地としてスギ植林などの常緑針葉樹植林が多く占めることは,ラジオテレメトリーによる本県での行動圏の環境分析でも(大迫1995b,1996a),分布の要因についての全国的な解析でも確認されている(日本野生生物研究センター1989).

そして,本種は,主にブナ,ミズナラなどの冷温帯落葉広葉樹林に生息しているが(Hazumi&Maruyama1987,日本野生生物研究センター1989,阿部1994),本県のブナーミズナラ群落は標高700m以上に多く(図2),そこでの情報が少ないため生息しているかは不明である.しかし,本種の秋期の餌としてブナとミズナラの種子が重要であることから(溝口ほか1996),この植生も主要な生息地であると考えられる.

3.分布

ラジオテレメトリー,アンケート・聞き取りおよびフィールドサインによる調査で,坂井郡三国町,芦原町 春江町,坂井町,南条郡今庄町,丹生郡宮崎村,越廼村,清水町での生息情報は得られなかった.情報漏れと考えられる南条郡今庄町を除くと,それらの市町村は本種の生息地ではない(大迫1995a).また,選好されなかった標高0〜50mの範囲も本来の生息地ではないと考えられる.さらに,本種の主要な餌であるブナ,ミズナラ,コナラ,クリの堅果類(山本1977,Nozaki et al 1983,水野・野崎1985,溝口ほか1996)を産するコナラ群落,クリーミズナラ群落,ブナーミズナラ群落,チシマザサーブナ群団,スギーブナ群落,およびその利用状況については不明であるものの,選好性の予想されるスギ植林は主な生息地であると考えられる.これらの生息可能地に実際に情報のあったメッシュを含めると,本県の嶺北地方と嶺南地方で,それぞれ594メッシュの2,109.78km2,195メッシュの692.60km2の範囲に,本種は分布していると推定された(図16).

E.生息個体数

推定する方法として,伊藤・村井(1977)が紹介しているChapmanの修正式,森下・水野(1970)および朝日(1980)の方法を用いた(大迫 1997参照).

伊藤・村井(1977)による推定

1.個体群は閉鎖的である.
2.第1のサンプルで全動物はおなじ確率で捕えられる.
3.標識されることは動物の捕獲に影響しない.
4.第2のサンプルは単純なランダム・サンプルである.
5.2回のサンプリングのあいだで標識を失うことはない.
6.標識に見落としはない.
と仮定し,第1のサンプルでnlの個体を捕獲・標識後,放野し,第2のサンプルで捕獲されたn2のうちm2の個体が標識されていると,小サンプルの場合,生息個体数(N*) は,

N*={(nl+1)(n2+1)/(m2+1)}−1

 

と推定される(伊藤・村井1977).

ラジオテレメトリー調査において,捕獲の試みの行なわれた範囲は,嶺北地方(河野村−今庄町以北)の大野市で約28.5km2,嶺南地方(敦賀市以南)の名田庄村で約33.3km2の面積であり,その範囲で,1994年度に,幼獣を含みそれぞれ3頭,1頭が捕獲され標識・放野されている(大迫1995b,1996a).発信器による追跡調査から,標識個体は,これらの範囲にはば留まっていたので,個体群ははとんど閉鎖的であると仮定できる.そして,1995年度に,同じ範囲で,狩猟による情報も含めそれぞれ3頭,2頭が捕獲され,このうち標識個体は各1頭である(未発表).そこで,嶺北地方,嶺南地方の調査地内の推定生息個体数をそれぞれN*n,N*s頭とすると,上記式よりN*n=7,N*s=2となり,嶺北地方,嶺南地方では,それぞれ0.25頭/km2,,0.06頭/km2の生息密度となった.本種の生息環境または生息可能の面積が,領北地方と嶺南地方でそれぞれ,2,109.78km2,692.60km2であることより,1994年度には,それぞれで527頭(92.6%),42頭(7.4%)の計569頭が本県に生息していたと推定された.

また,狩猟個体数(Ht)は,その地方の狩猟者数や狩猟頻度などの狩猟圧が一定(h)であると,生息個体数(Nt)に比例すると考えられるので,   Ht=h・Nt,またはNt=1/h・Ht

となり,N1994=569,H1994=38より,h=0.07,Nt=14.97・Htとなった.これを用いて本県における1991〜1995年度の生息個体数を推定すると平均919±408(SD)頭となった(表4).

表4.福井県における1991〜1995年度のツキノワグマの狩猟・捕獲個体数とそれより推定された生息個体数.
年度 狩猟個体数 捕獲個体数1 推定生息個体数
方法1a 方法2b 方法3c 方法4d
1991981281,467836844909
19924267 629438442476
19934670 689457461497
19943856 569366369398
19958399 1,243647652703
m±sd 61±27 84±29 919±408 549±191 554±193 596±208

1)捕獲個体数=狩猟個体数+有害駆除個体数.

a)Chapmanの修正式(伊藤・村井1977)による推定

b)森下・水野(1970)による推定.

c)朝日(1980)による推定.

d)朝日(1980)の一部の仮定を基に推定.

森下・水野(1970)による推定

1.本種のメスの初産は満3年を経て行なわれ,それ以後3年間隔で平均性比1:1の2頭を出産する.
2.メスの年生存率と狩猟を含めた年死亡率は年齢によって変化しない.
3.個体群の密度は平衡状態に達しており,自然死亡率を無視できるなら,繁殖個体に新加入するメス個体数    は捕獲個体数とつりあう.

と仮定する(森下・水野1970). 成獣メスの年死亡率を1−xとおけば年生存率はxである.メスは,3年で成熟し3年間隔で平均性比1:1の2頭を出産するから,毎年新しく生まれてくる幼獣メスの個体数(Af)は,毎年新しく成獣となるメス個体数(AF)によって,

Af=AF+AFx3+AFx6+AFx9+・・・・・,(x<1)

=AF/(1−x3)            (1)

と表せる.一方,幼獣の年死亡率も成獣のそれと同じであるから,

AF=Ar・x3                (2)

となり,(1),(2)より,x3=0.5,x=0.794となる. また,近似的に成獣メスの個体数(NF)は,

NF=AF+AFx+AFx2+AFx3+・・・・

=AF/(1−x)

と表せるから,NF=AF/0.206となる.もし,成獣の自然死亡を無視できるなら,平衡状態での新加入成獣メス個体数(AF)は,成獣メス捕獲個体数とつりあう.さらに,生息個体数と死亡率は雌雄で同じと仮定すると,同様に,成獣生息個体数(N)は,新加入成獣個体数とつりあう成獣捕獲個体数(A)を用い,N=A/0.206と表せる.

ここで,福井県における成獣捕獲個体数は,全捕獲個体数の67.3%を占めるから,1991〜1995年度の成獣生息個体数(N)は,平均274±96(SD)頭となった.

一方,幼獣生息個体数(N’)は,

N’=A・(1+x+x2)/(1−x3)=A/(1−x)=N

となり,成獣のそれと同じになる.つまり,本県における全生息個体数は,平均549±191(SD)頭と推定された(表4).

朝日(1980)による推定

1.地域内の死亡個体数がわかっていて,それがほぼ安定している場合は,年増加個体数と釣り合っている.

2.年死亡率が一定で,各年齢段階の個体数が年比級数的に減少する.

3.雌雄の性比は1:1である.

と仮定すると,生息個体数(N)は,

 N=[2/b+(1−sm)/(1−s)]/s・ND

    b:メス1頭あたりの年産子数

    s:年生存率,

    m:初産年齢

    ND:年死亡個体数

と推定される(朝日1980).ここで,死亡の原因がすべて捕獲によるものとし,b=0.7,m=3 (岩手県環境保健部自然保護課1991)を用いると,

  N=6.59・ND

となり,1991〜1995年度の生息個体数は,平均554±193(SD)頭と推定された(表4).

もしくは,仮定1から,

  ND=b・Fad

    Fad:成獣メスの個体数

となり,福井県における成獣メスの全生息個体数に対する割合は20%だから,

  Fad=1/5・N

    N:生息個体数

よって,

  ND=b・1/5・N

  N=5/b・ND

と推定される.死亡の原因がすべて捕獲によるものとし,b=0.7(岩手県環境保健部自然保護課1991)を用いると,

  N=7.14・ND

となり,1991〜1995年度の生息個体数は,平均596±208(SD)頭と推定された(表4).

捕獲調査地の生息密度と福井県における生息可能範囲の面積から推定された,1991〜1995年度のツキノワグマの生息個体数は,平均919±408(SD)頭であった.この方法では,サンプル数が少ないため大きな片寄りが存在すると予想され,また,本県における生息密度の平均が0.33頭/km2となり,個体数の大きな減少の見られない他県,たとえば岩手県の0.08頭/km2(岩手県環境保健部自然保護課1991),秋田県の0.15頭/km2(秋田県林務部1983),新潟県の0.913頭/km2(新潟県野生動物生態研究会1987),富山県の0.13〜0.18頭/km2(富山県農地林務部自然保護課1990)より大きかった.つまり,推定値は過大評価されている可能性が高い.ただし,本県の嶺北地方,嶺南地方の生息密度の違いは,実態を反映していると考えられる.

一方,捕獲によって個体群の密度が平衡状態であるとして推定された,1991〜1995年度の平均生息個体数は,森下・水野(1970)による方法で549±191(SD)頭,朝日(1980)による方法で554±193(SD)頭,または,596±208(SD)頭であった.森下・水野(1970)による推定方法では,死亡率が過大であり(岩手県環境保健部自然保護課1991),朝日(1980)による推定方法では,齢別の死亡率の違いが考慮されていないなどの欠点がある.すると,少なくとも本県の個体群の性別や成幼別の割合を考慮した推定値である596±208(SD)頭が,最も妥当であると考えられる.

自然災害などのカタストロフや狩猟・駆除などのない場合の,本種の人口学的存続可能最小個体群サイズは,孤立個体群で100頭であると推定されている(三捕・掘野1996).本県の嶺北地方の個体群は,孤立してはいないし,かつ100頭以上の個体数が維持されているので絶滅の可能佐は低い.しかし,嶺南地方の個体群を含む近畿北部ユニットの個体数は,このレベルを下回っている可能性がある.早急に京都府と滋賀県の生息個体数を算出し,判断する必要がある.

X.保護・管理対策

ツキノワグマに限らず,大型野生動物の保護・管理を進めてゆくには,個体情報の収集,定期的な生息状況の把握,および各対策の推進とその結果の評価を行ない,状況に応じて変更してゆくことが求められる.

今回の調査事業では,捕獲個体の情報の不足,嶺南地方の生息個体数の減少の可能性および各対策の推進のための連絡綱の不備などが明らかになった.そこで,「広島県ツキノワグマ保護・管理計画」(梅原1995)および「ツキノワグマ保護管理計画」(長野県1995)に倣い,以下の対策を提案する.

1.生息環境の整備

本種が人里へ出没するのは,主に生息密度に対する相対的な食物の不足と考えられる.そこで,主要な餌であるブナを含む広葉樹林の伐採の自粛,または伐採・植林する場合でも植林本数の1〜2割のブナ,ミズナラ(コナラ),クリなどの堅果植物を植えるように誘導する. 

2.捕獲個体の管理

捕獲個体から得られる情報は,保護・管理を行なう上で重要である.そこで,狩猟および有害駆除の個体については,捕獲年月日,捕獲場所,捕獲個体の年齢,性別および計測値などの情報を収集する.

また,人畜への危害が予想され駆除のために捕獲されても,場合によって(たとえば幼獣や子連れのメスの場合),麻酔後,奥山放野する.そのために,各市町村と委託機関などを含め,そのための体制(図17)をとる必要があろう.

そして,領南地方においては,領北地方に比べ本種の生息密度が低いことから鳥獣保護区,休猟地などの設定または拡大,もしくは捕獲個体数の制限などによる保護対策が必要であろう. 

3.被害防止対策

本種の林業への主な被害である針葉樹の皮はぎの実態を調査し,その防止対策を研究・開発し,普及・実践する.とりあえずの対策として,針葉樹のトタン巻きやイノシシ,ニホンジカ,ニホンザルなどの被害防止も兼ねた電気柵の設置などを検討する. 

4.普及啓発活動

本種の保護・管理の推進,人とクマとの安定した関係を作るためには,地域住民の理解・協力が不可欠であり,生態,被害予防などのための普及・広報活動が重要である.また,登山者,観光客に対しても,不用意な接近のないよう注意を喚起させることが必要である.

5.生息動態調査

本種は,狩猟・有害駆除の対象であり,また,生息環境の変化などでその分布,生息個体数の大きな変動があり得る.そこで,現況の把握および保護・管理対策の効果を測定するためにも定期的に生息状況を調査する必要がある.

以上の対策および調査は,少数の関係機関だけでの対応は不可能である.そこで,県の関係機関,市町村猟友会も含めた福井県大型野生動物保護管理協議会(仮称)を設置し(図18),継続的に検討・実践してゆくべきであろう.

Y.謝  辞

京都大学農学部付属演習林の高柳敦氏には,計画からまとめまで相談に応じていただいた.各市町村の自然保護主幹課,特に大野市役所,名田庄村役場,美浜町役場,大野市森林組合と福井県猟友会,鳥獣保護員の久保藤士継氏および地元関係者,特に稲津克巳氏,武内盛直氏には,ツキノワグマの情報の提供と現地調査の便宜を図っていただいた.また,福井県奥越高原牧場,家畜保健衛生所嶺南支所および獣医師の岡田又穂氏,富永一夫氏には,捕獲個体の麻酔・保定に協力していただいた.そして,京都大学野生生物研究会,獣害総合研究所,福井県自然環境保全調査研究会鳥獣部会および藤井礼子さん,中井信介氏には調査を手伝っていただいた.そして,石川県自然保護課の野崎英吉氏と野生動物保護管理事務所の羽澄俊裕氏には関連文献について有益な情報を提供していただいた.記して感謝する.

Z.要  約

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本ページは「大型野生動物生息動態調査報告書 ツキノワグマ」 (福井県自然保護センター 1997)を基に福井県自然保護センターが作成したものである。